0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『ロード・オブ・ウォー』




アンドリュー・ニコル『ロード・オブ・ウォー』再見、

ニコラス・ケイジは、ウクライナからユダヤ人に成りすましてアメリカに移民した家族の息子。
リトル・オデッサでレストランをやっていたが、家族みんな、うまくいっていなかった。

ある日、ケイジはレストランでロシアン・マフィアの銃撃戦に出くわして、ショックを受け、弟のジャレッド・レトと共に武器商人になる。

最初は有名な武器商人から門前払いを食らうが、ベイルートでアメリカ陸軍将校に賄賂を渡し、米軍が残した多くのM16を売り払ってから、ケイジは弟と2人で世界中で多くの相手に銃を売る。

だが、インターポールの捜査官、イーサン・ホークが二人をマークしていた。

その後ジャレッドはコカイン依存症になり、ケイジは正体を偽って、前から憧れていた元ミス・アメリカの女性と付き合い結婚するが、彼女のために、派手な生活を無理して送り、破産寸前となる。

だがケイジの祖国ウクライナを支配していたソビエト連邦が崩壊し、ケイジはウクライナで司令官をしている叔父と組んで、兵器庫にあった大量の武器、兵器を外国に売るようになる。





ノンフィクションを多少脚色して映画化した、武器商人を描いた作品。

かなりヤバイ話なのに、お話はわりとスイスイテンポよく展開していくが、やはりニコラス・ケイジの最高のハマり役であることが一番目立つ映画である。

ハードでヤバイ取引を口八丁手八丁でまとめていく飄々とした武器商人役にケイジはかなり似合い、これは、後3〜4年で俳優を引退するとか言っているニコラス・ケイジの代表作と言ってもいいほどである。

しかし、ミスアメリカの美人は、ほとんど詐欺に遭うようにケイジと結婚するが、ケイジの正体がわかっても、大して取り乱さないところは本当かよと言いたくなる。

どうやら最初から、この妻は薄々わかっていた、というまとめ方になっているが、やはり贅沢三昧させてもらったから黙っていたということかもしれない。

ジャレッド・レトが、いい奴だが自堕落なヤク中の弟を熱演しているし、イーサン・ホークのケイジのライバル捜査官役もわりといい。

また武器商人というより詐欺師のようなケイジは、世界中で次々と商談をまとめるが、最初罪悪感がかなり薄いものの、徐々に葛藤するようになるが、それでも最後まで卑劣な武器商人であることには変わりない。

終盤になるにつれ、武器商人のような売る奴より買う奴が悪いみたいな感じになるのは偽善的だが、実は敵対しているはずのアメリカ国家自体が、ケイジのような武器商人の存在を歓迎しているという実態が最後には語られ、中々リアルではある。

しかし、だからと言って、武器商人悪くない、悪いのはアメリカという国家、とでも言いたげな終盤は、明らかに都合の良い責任転嫁とインチキなクソ被害者意識の醜さであり、テメーの私利私欲で銭儲けしてきた卑劣な武器商人なんぞに正当性などやはりないと思うが。

と、確かに懐疑的にならざるを得ないところもあるのだが、それでもニコラス・ケイジのハマり役ぶりや、テンポの良い展開、世界を渡り歩く武器商人の話をそれなりのスケール感で描いている醍醐味や、戦争にまつわる隠れた現実を抉っているところなどがかなり良い、ちょっとした秀作ではある一篇。 2018/04/21(土) 02:52:49 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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