FC2ブログ

0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『極秘捜査』




クァク・キョンテク『極秘捜査』、

1978年、釜山にて、金持ちの娘が誘拐される。

刑事のキム・ユンソクは部署が違うため、捜査に最初参加出来なかったが、過去の功績や、少女の家族が多くの占い師に娘はもう死んでいると言われる中、ユ・ヘジンの導師だけが、15日後に犯人から連絡があることや、ユンソク刑事が事件を解決することを予言したこともあり、捜査に参加する。

ユンソクは犯人逮捕より、少女の命を優先し、少女の家に泊まり込んで極秘捜査を行なう。

しかし、犯人が接触してこないため時間ばかりが経過するが、15日後、ついに犯人から電話があり、少女がまだ生きていることを確信したユンソク刑事は、ヘジン導師を最初胡散臭がって信用していなかったが、徐々に理解し合って協力するようになり、手柄ばかり立てたがる刑事たちの中、少女の救出を一番に考えて動き回るが。





1978年に、釜山で実際に起きた誘拐事件を映画化した作品。

エンドロールには、モデルとなった現実の刑事と占い師の写真が映し出され、その後が語られているが、占いで事件捜査-解決なんてお話なのに、かなり実話に近い形で映画化されているようだ。

70年代の韓国の風土や雰囲気もわりと再現しているようで、まるで70年代の日本のプログラムピクチャーの刑事映画のようなテイストが随所に感じられ、そこがとてもいい。

キム・ユンソクは最初から適役という感じだが、占い師役のユ・ヘジンは、最初はあんまり冴えない地味なオッさんにしか見えないのに、その演技力で存在感をどんどん増して行き、まるで”韓国のドン・チードル”と言いたくなるような名優ぶりを見せ、実に好演している。

特に自分の占いに全てを賭けているとユンソクに叫び、そこからユンソクと協力関係になっていく場面がよい。

手柄と犯人逮捕のことばかりで、被害者のことを考えない刑事たちのロクでもなさが実に憎たらしく描かれている。

そこで孤立していたユンソク刑事は、最初インチキだと思って信用しなかったヘジンの真の能力に気づき、徐々にヘジンと二人で事件を追及していく。

犯人と接触するユンソクが、犯人の車に突入して捕まえようとする場面の修羅場感は中々緊迫する。

だが、犯人をユンソクらが見事逮捕した後、ユンソクは犯人逮捕しか考えない刑事たちに理不尽に手柄を横取りされ、占い師も明らかに占いを外していた師匠の占い師の功績にされてしまう。

つまりこの映画は、韓国の隠されてきた真相を開示している実話映画なのだろう。

最後はそれでも、被害者側からユンソク刑事の手柄を認めるよう陳情があったり、占い師もそれなりに評判になり、ユンソクとヘジンが家族ぐるみの付き合いをするようになるハッピーエンドで終わっていく。

このラストからエンドロールにかけて流れるサントラが素晴らしく良い曲で、見事に映画を締めている。

またエンドロールで語られている後日談によると、占い師と刑事は再度発生した誘拐事件をも解決しており、占い師は刑事の出世や、犯人が二人いる占いまでも当てていたことが明らかにされている。

占い師が事件を解決、というおよそ普通の刑事映画でもフィクション性の高そうな設定が実話であり、しかも極秘捜査だったため、闇に葬られた実話だった、というところには社会派刑事映画的意味合いがかなり感じられるが、映画自体はサスペンスミステリ要素が濃い面白味のある映画になっており、主役から悪役までちゃんとキャラ立ちしている。

監督クァク・キョンテクの手腕が冴える出来栄えの映画になっている。

もちろんキム・ユンソク、ユ・ヘジンの好演も光っている。

そんな中々の秀作な一篇。 2018/04/03(火) 09:17:19 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://shoheinarumi.blog18.fc2.com/tb.php/1932-64fd72fb