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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『刺青 匂ひ月のごとく』




三島有紀子『刺青 匂ひ月のごとく』再見、

さとう珠緒は、ソシアルダンスの名手だった両親の後を継ぎ、スタジオを経営していた。

さとうは日々、妹の井村空美と、パートナーの勝野洋輔とダンスに打ち込んでいた。

だがある日、井村にパートナーを断られた古河耕史が井村を襲い、通りかかった勝野に助けられたことで2人の仲は急接近する。

さとうはそのことに嫉妬する。

その後、井村は謎の彫師のところへ行くことになり、刺青の世界に知ってゆく。




谷崎潤一郎の原作の何度めかの映画化。

原作を現代風にアレンジした作だが、なんとなくガーリー風現代アレンジという感じである。

さとう珠緒がいつものユルイキャラとは正反対のキツイしっかり者の悪女役で、絡みのシーンもこなしたことが公開時に話題になった映画だが、まあそこが新味という以外は大してパッとしない。

ガーリーなセンスの室内美術だとか、彫師の部屋が異様と言えば異様だが、だからと言ってどうということもない出来である。

刺青を背負ってから、さとうの姉の言いなりぽかった井村が女として妖しく輝き出し、さとうを逆に圧倒する後半の展開もいかにも露骨で、井村は確かに変貌を遂げているのだが、逆に浅い描写に見える。

シリアス演技の悪女役のさとう珠緒も、井村空美もわりと好演しており、そう悪くないし、谷崎をガーリーセンスで現代的に映画化したというのもひとつの個性的な映画化だろうが、しかし、もうちょっと何とかなりそうでなっていない映画である。

増村保造版の情念的な妖しさの凄みは、女優のレベルが違うから比較するのは酷だろうが、あまり出ていない現代版である。

全体的にはまあまあな一篇。 2018/03/24(土) 04:09:39 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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