0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 大杉漣




大杉漣さんが急死した。

大杉さんが主役の一人としてご本人役で出演している「バイプレイヤーズ」放送ちょっと前に訃報を聞いたので驚いた。

しかも何か持病があったわけでもなく、撮影終了後に、「バイプレイヤーズ」共演者のグループLINEに大杉さんから不調を訴える投稿があり、共演者の松重豊さんが付き添って病院に行くも、そのまま大杉さんの容態が急変し、最後は遠藤憲一さん、田口トモロヲさん、光石研さんら、まさに「バイプレイヤーズ」の仲間たちに看取られて亡くなられたらしい。

一昨日見た「ぐるナイ」のゴチでも元気そうにされていて、最後に自腹となり、皆にご馳走して逝かれてしまったが、とてもこの後すぐに亡くなられるようには全く見えず、その早すぎる突然の死は本当に悔やまれるばかりである。

80年代に高橋伴明、磯村一路、中村幻児、廣木隆一、渡辺護、和泉聖治、滝田洋二郎監督他のピンク映画に出演されていた頃から良かった。

当時のピンクの男優では下元史朗氏と共に愛着のある人だった。

大杉さんが昔出演された「ガキ帝国」の井筒和幸監督による、大杉さん回想話を先日聞いていて、ディレクターズ・カンパニーやユニット5が生まれた時代のあの頃の空気を思い出したが、ちょうど今、その頃、大杉さんが笠智衆的な初老の父役を演じた、周防正行監督の小津映画への野心的オマージュ作「変態家族 兄貴の嫁さん」がベルリンで上映されている時期での訃報である。

「ソナチネ」に出演された辺りから、北野武映画の常連俳優となり、またバイプレイヤーとしてもブレイクされて、その後さらにかなりの数の作品で好演されたが、その頃は黒沢清監督作の常連俳優でもあり、中でもドラマダスの「もだえ苦しむ活字中毒者 地獄の味噌蔵」や、「勝手にしやがれ」シリーズの大杉さんは特に印象深かった。

前に書いた、Vシネ主演作「暴き屋 保険裏仕事人」も良かった。

やはりバイプレイヤーとしての出演作品がかなり多い人だったが、上記の作品や、北野武や黒沢清作品以外では、磯村一路監督の「船を降りたら彼女の島」の哀愁に満ちた父親役が個人的にはベストの名演だった。

その他にも、同じ磯村監督作「愛欲の日々 エクスタシー」や、「凶銃 戻り道はない」、「パンツの穴 キラキラ星みつけた!」、「犬、走る DOG RACE」、「無能の人」、主演作「不貞の季節」、「死国」、「天使に見捨てられた夜」、「エクステ」、三池崇史監督の「DEAD OR ALIVE」シリーズや「フルメタル極道」「新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争」他、「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」、「仮面ライダー1号」の地獄大使役、「ディアフレンズ」、「一枚のハガキ」、「シン・ゴジラ」の総理大臣役他などなどでの好演が特に印象深い。

またTVでも、「遺留捜査」シリーズ、「緊急取調室」シリーズや「臨場」のゲスト出演、「巷説百物語」シリーズ、「広域警察」シリーズ、ピンク映画時代も組んでいた和泉聖治監督の、高橋克典との主演作「ハラハラ刑事〜危険な二人の犯罪捜査〜」シリーズや「相棒」シリーズの衣笠副総監役他などなどで数々の好演をされていた。

大杉さんは、80年代には後の日本映画を支える、上記のピンク映画の名監督の映画で好演し、90年代には黒沢清や北野武他などなどの世界的に羽ばたく名監督の作品に出演し、と、いつも時代の先駆けとなるエッジの効いた監督の、その先行作品に出演され、ずっと好演されてきた。

個人的には70〜80年代に、当時のリアルタイムの上記のピンク映画監督作に、メジャー系にはない傑作が多いことを知って、当時よく観ていた頃から、現在の「バイプレイヤーズ」シリーズに至るまで、こちらが気になって観ているリアルタイムの日本映画やドラマに、いつも様々な役どころで出演されていた方だった。

バラエティ番組でも良かったが、やはり日本映画を長年引っ張ってきた功労者だったと思う。

素晴らしき名優だった。


大杉漣さん、ご冥福をお祈り致します。










2018/02/24(土) 10:34:11 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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