0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『はやく起きてヨ!』

坂本太『はやく起きてヨ!』、

高野八誠は伊藤千夏に純愛に近い気持ちがあったが、二人は中々距離を縮められなかった。

だが逆に緒川まりんはやたらに積極的で、高野は緒川に言い寄られている内に関係してしまう。

緒川は元恋人がマネージするアイドルユニットにも参加していたが、元恋人は緒川に復縁を迫るも緒川は相手にしなかった。

高野の伊藤への純愛の気持ちは変わらなかったが、伊藤は過去のトラウマから男性恐怖症なため、中々積極的になれないでいた。





中西やすひろ原作コミックの映像化作品。

随所にテリー伊藤が悪魔風にイチイチ出てきて茶化す場面がバラエティ的に挿入される、いかにも安いラブコメテイストで描かれてはいるが、しかし途中から高野や伊藤千夏の純愛心理などより、高野にやたら積極的で、女の方から関係を迫る、悪女っぽい緒川まりんのお話のように様変わりしていくところが悪くない。

緒川は単に高野を弄ぶビッチキャラなように見えて、実は過去の恋愛の失敗から立ち直ろうとして、高野にゾッコンになっていく意外に情熱的な純愛キャラであることが露出していく。

そして途中からは、伊藤千夏に惚れている高野に、身体を許しながらも振り向いてもらえない緒川の、ちょっと高野より大人っぽい立場の悲しい純情がメロウに描かれていく。

最終的には伊藤千夏が、過去のトラウマからの男性恐怖症を徐々に克服し、高野とウブな者同士純愛的に結ばれていくのがクライマックスとなってはいるが、やはり緒川まりんの複雑な立場と心理を途中できちんと描いているので、それがドラマに厚みを持たせており、単なる安っぽいラブコメを脱している。

緒川まりんはこの中で一番好演している。

そういう意味では、坂本太のコミカルな中に情緒が滲む演出や、佐々木乃武良の脚本も悪くない、一見安っぽいようで意外とちゃんとした青春恋愛映画になっている一篇。


2017/12/19(火) 00:05:18 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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