0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『背徳の海 情炎に溺れて』

竹洞哲也『背徳の海 情炎に溺れて』再見、

逃げてきたある男は、海で友田彩也香と関係を持つが、友田は男を家に連れてくる。

友田は婚約者を失くしていた。

そこから徐々に、この村で起きた事件が明るみになっていく。

村はかって漁が盛んだったが、工場が出来て海は汚染され、漁師たちは工場長の森羅万象に口説かれ、漁をやめる。

一時的な活況はすぐに過ぎ去り、また村は閑散とした場所になっていった。

友田は森羅を恨んでいたが、森羅は自責の念にかられていた。




海沿いの村を舞台にした抒情溢れる作品。

森羅万象が村の悪人のように登場するが、結局彼も被害者であり、しかし村を破壊した自責の念に苦しみ、自らの身体を犠牲にしていく。

友田の喪失の悲しみが、徐々に村全体の喪失の悲しみに見えてくるし、そこに自責の念にかられる森羅万象の苦しみの葛藤が絡んで、海辺の町の抒情に独特の哀感が滲んでいくところに味がある。

村に逃げ込んだ男は友田といつか結ばれる約束をするが、その末路には未来がないし、結局静かな抒情の中、終わっていく村の儚さだけが漂って終わっていく。

映画のこうした題材や気配が、ピンク映画で描かれたことで、より儚さが感じられる映画になっているようにも思える。

森羅万象が複雑な立場の役どころを好演しているが、友田彩也香もいい味わいである。

そんな佳作な一篇。 2017/12/16(土) 01:22:51 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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