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0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 西村昭五郎



先日、西村昭五郎監督が亡くなった。

数年前に滋賀の老人ホームに入られ、監督引退されていたが、日活ロマンポルノ第一作である『団地妻 昼下がりの情事』を撮った、ロマンポルノだけでも最多の83本も撮った監督である。

脚本家から貰った脚本が気に入ったら、あまり直さずに撮る、謂わば脚本家の作家性を損なわずに映画を作る職人監督だったようである。

ロマンポルノ以前は、デビュー作『競輪上人行状記』がいきなり高評価だったが、その後小林旭の『不敵なあいつ』、
前にここで評を書いた異色の青春映画『帰ってきた狼』、
佳作『東京市街戦』、
かなり渋いキャストと内容が良い『やくざ番外地』、
レズとジャズと情死などの様々な生態が異色に交錯した真理アンヌ主演の秀作『残酷おんな情死』(でもATG映画的すぎて、この後ロマンポルノまで干されたらしい)他などが良かった。

ロマンポルノ以降は、これも前にここで評を書いた、ラディゲの映画化で中々の佳作だった『肉体の悪魔』や、
濃いテイストの『黒薔薇夫人』 、
こちらも前にここで評を書いている、ワイルドさとメロウな繊細さが同居した『愛欲生活 夜よ、濡らして』 と蘭光生(式貴士)原作の、式貴士らしさすらよく出ていた、ロマンポルノ屈指の傑作『鏡の中の悦楽』他などが特に良かった。

西村昭五郎作品には、いささか抽象的な言い方だが、映画に独特の粘りというか、映画という運動体にドラマや物語や人間が独特に粘りついて、いつの間にか粘り気のある色濃い有機体と化していくような醍醐味があった。

上記の秀作群は、その西村昭五郎的な粘りの色濃い有機体の醍醐味が映画自体の魅力として特に輝いていた作品だった。

別に作品自体が大傑作というわけではないが、個人的には『濡れて悶える』や『火照る姫』などにも西村昭五郎的粘りの魅力のテイストが出ていたように思う。

ロマンポルノ終了後は、『難波金融伝 ミナミの帝王』の劇場版やTVの二時間ドラマなどを撮られ、その後わりとお早く引退されていたが、やはり職人監督的とは言え、色濃い作家的個性と独特の才気に満ちた映画作家だったと思う。

西村昭五郎さん、ご冥福をお祈り致します。





2017/08/15(火) 00:06:32 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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