0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『パニック・トレイン』




オミッド・ノーシン『パニック・トレイン』、

医師のダグレイ・スコットは息子と一緒に深夜の列車で帰宅しようとしていた。

だが、停車中に何者かがブレーキを操作していることをダグレイは訝しむも、列車は走り出す。

走行中、つい眠っていたダグレイは列車が止まらないことに気ずき、車内のインターフォンで運転室に知らせるが、何故か乗客の数を聞かれる。

列車の乗客は、ダグレイと息子、車内でダグレイと仲良くなったカーラ・トイントン、マナー違反をやらかし揉めていた男と老いた銀行家、それに心臓が悪い老女の6人だった。

どうやらブレーキが利かない列車は、今や謎の男が操縦しており、踏切りの車にも突っ込んで、ひたすら暴走しているようだった。

ダグレイらは暴走列車を止めようと動き続けるが。






暴走列車を止めようとする乗客たちを描いた、英国インディペンデントのノンストップ・パニック・サスペンスアクション映画。

なんでも、500ポンドの超低予算でトレーラーを作ってネットで投資を募り(クラウドファンディングか?)、その後約250万ドルで作られた映画らしい。

パニックアクション映画としては低予算なため、撮影技法を工夫して撮影され、この手の映画に付き物の乗客の家族だとか警察や特殊部隊や鉄道会社の描写などは一切なく、ただ暴走する列車という密室内での少数の乗客たちの奮闘ぶりをサスペンスフルに描いている。

2013年の英国インディペンデント映画賞でダグラスヒコックス賞(新人監督賞)にノミネートされている作品。

まあそんなわけで、低予算ゆえに登場人物が限られるため、こんな非常事態に鉄道会社や警察は何をやってんだ?という疑問はあらかじめ不問に付しているような映画である。(苦笑)

おまけに暴走列車を操縦する犯人すらロクに描かれず、どうやら自殺願望の男が乗客を道ずれにした自爆行為ではないか、と想像されるだけで、結局最後まで犯人も犯行動機もはっきりしないまんま終わってしまう。

要は密室状況での乗客たちの奮闘と人間ドラマだけが描かれているのだが、仲の悪かった乗客たちが徐々に暴走列車を止めようと協力し合うようになる描写は一応悪くない。

しかしそれにしても、客席横の扉のようなものが走行中に開いてしまうタイプの列車らしくて、少年が一瞬落ちそうになるのだが、イギリスにはこんなクソ危ない列車があるのだろうか。

最後の列車の連結切り離しのアクションシーンが最大のクライマックスであり、そこが一番パニックアクション映画らしい場面だが、そこも低予算映画らしい頑張り方で描かれている。

まあトニー・スコットの遺作にして傑作『アンストッパブル』ほどの映画ではないが、それなりにうまくまとまっているし、そう飽きさせない映画にはなっている、悪くない一篇。 2017/07/15(土) 03:47:39 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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