0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『プリデスティネーション』




マイケル・スピエリッグ&ピーター・スピエリッグ『プリデスティネーション』、

1970年のニューヨーク。

爆弾魔の爆破事件が巷で騒がれる中、あるバーの客でライターをしている青年サラ・スヌークは、バーテンダーのイーサン・ホークと話す内に、自身の半生を語ることになる。

実はサラは女として生まれて孤児院で育ち、喧嘩が強い上に頭もよく、宇宙に行くことに憧れていた少女だっだが、ある時チャンスを得て宇宙に行く訓練を受けるエリートに選ばれる。

しかしそこでの素行や、ある問題が原因で夢破れるのだが、その後流れ者の男と付き合い、妊娠するが、流れ者の男は不意に消えてしまい、赤ん坊まで誘拐されたのだった。

実は両生具有だったため、出産後は男性として生きてきたことをサラは話すが、イーサンは実は未来からやって来た時空警察のエージェントで、サラに自分の後継者になるよう頼む。

サラはイーサンと共に時空を超え、自分の人生を無茶苦茶にした流れ者の男と出会った時代にタイムスリップして、男を殺そうとする。

一方、イーサンの方も、サラに装備を託しながら、自身は宿敵の爆弾魔との対決に挑むが。





ロバート・A・ハインラインの「輪廻の蛇」を映画化したオーストラリア産SFサスペンス映画。

イーサン・ホークは時空を彷徨う犯罪者を取り締まるエージェントで、サラは前半は飲み屋で波瀾万丈な過去の人生を語り、後半はイーサンに見込まれて、さまざまな時代にタイムスリップし、自身の人生の真相に触れることになる。

脚本も担当している双子の監督マイケル・スピエリッグ&ピーター・スピエリッグは、ハインラインのかなり錯綜した物語をテキトーにまとめることもなく、逆にややこしいだけのまどろっこしい映画にもしていないのが秀逸である。

ちょうどいい按配で錯綜させ、逆に絶妙に明確にも描く、というバランスがうまく取れた描き方で、SF的醍醐味とサスペンス映画的緊迫感の両方の魅力を引き出している。

その果てに時空を超えた、意味深で色濃いヒューマンドラマをも描いており、中々に感慨深い映画になっている。

イーサン・ホークもサラ・スヌークも好演しており、まさにハインラインの原作邦題通りの”輪廻の蛇”的物語展開と謎めいた様相を見せる、わりとよく出来た秀作な一篇。 2017/07/04(火) 00:05:11 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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