0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『若妻痴漢遊戯 それでも二人は。』

城定秀夫『若妻痴漢遊戯 それでも二人は。』、

西野翔と吉岡睦雄の夫婦は結婚して一年と少々の時期で、西野は翻訳のアルバイトもこなし、吉岡とも円満だったが、満たされない気持ちもあった。

しかし、西野は電車で痴漢に遭い、痴漢してきた男の強引さに惹かれていく。

その頃、夫の吉岡はリストラされたことを妻に告白出来ず、風俗に通っていたが、風俗店で禁止行為を行い、事務所に連れてこられるも、そこで風俗嬢の面接に来ていた妻の西野と顔を合わせてしまう。

お互いの気まずく、すれ違った気持ちが露見し、その後西野は夫不在の自宅で痴漢男と不倫の情事を重ねるが。




城定秀夫、初期の作品。

題材や設定に描き方、それに構成などなど、いかにも城定らしいものではあるが、しかしまだ後々の傑作群ほどの冴えがあると言い難い。

コミカルな描写などは同じだが、すれ違った夫婦の気持ちが、台詞無しでもメロウに伝わってくる、あの独特の情緒感はまだ薄く、ラストも城定らしいほのぼのハッピーエンドを迎えるものの、そこにあの感動的な意味深さの気配があまり出ていない。

それでも夫婦のドラマを腰を据えて撮ろうとしている気概は感じさせるし、それにラストにいきなり荒唐無稽なUFO話が出てきて、そこからほのぼのハッピーエンドに収まっていくところなどは中々城定らしい。

傑作とまでは言えず、まだ舌足らずなところも散見されるが、それでも城定らしさはあるし、特にそう悪い出来というわけでもない一篇。 2017/06/17(土) 00:06:30 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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