0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『殺し屋アンナ』




長尾くみこ『殺し屋アンナ』、

修道女アンナ=横山美雪は、裏では神父に命じられ、人を殺す凄腕の殺し屋だった。

横山は、神父だけが知っている凄惨な過去から幸せを捨てて、法で裁けぬ悪を殺す「天使の処刑人」になったのだった。

だがある日、教会の結婚式に武装集団が乱入し、教会は地獄絵図と化す。

横山は、この犯人らが自分の過去の事件に関わっていることに気付く。





法で裁けない悪を神の法で裁く修道女を描いた女殺し屋映画。

題材や、過去の事件にまつわる存在が横山を使命と恨みの気持ちの間で葛藤させるという設定、または神の法によって悪を裁くということに関するわりと真摯な理屈が語られるところなどは悪くない。

しかし、そのわりにはアクション場面はショボく、パッケージにあるような場面もないし、そこからイメージされる悪とのハードな対決展開もただあっさり描かれるばかりで、あまりにスカスカな感じがするのが惜しい。

情念の極みのような裁きを、感情を殺して神の法として行いつつも、使命と人間的な恨みの間で揺れ動くという、中々複雑かつ重層的な情念のお話をやっているのに、その複雑な深みがあまり展開描写全体の中に感じられず、ちょっと浅いところが残念である。

横山美雪はわりと役に合ってると思うが、結局この展開や描写のあっさり感がそれを活かせていない。

悪役の造形だってそう悪くないだけに、色々と惜しい作品である。

大風呂敷を広げたところまではよかったのに、それを丁寧に掘り下げて描かず、随分あっさり軽く畳んでしまった感のあるイマイチな一篇。 2017/06/03(土) 00:40:29 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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