0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『社長秘書 巨乳セクハラ狩り』

山崎邦紀『社長秘書 巨乳セクハラ狩り』再見、

池島ゆたかは出版社の社長をしていたが、息子の平川直大の婚約者・安奈ともが秘書になり、普段安奈に対するセクハラ妄想を膨らませては、そんな自分に罪悪感を持ち、律していた。

だがある日、会社の真面目な営業マンの荒木太郎が、いきなり安奈にセクハラをして、ベテラン女編集者の佐々木基子に叱責されるも逆ギレして暴れ出し、そこにやって来た池島に怒られた後、アッカンベーして会社を去る。

荒木に注意しクビにした池島だったが、荒木と同じ欲望が自分の中にもあることに池島は気づいていた。

そして不意に荒木が忘れていったコートと、ハンチングを着用すると、なんと池島に荒木の人格が乗り移り、池島は安奈に襲いかかり監禁するようになる。





元々奇天烈設定多しの山崎邦紀の、やたら無茶苦茶な映画。

はっきり言って、途中から笑いが止まらなかった映画である。

特に荒木のコートと、ハンチングを着用すると、何故か池島に荒木の人格が転移してしまってからは、もうひたすら無茶苦茶な展開である。

自宅に帰った池島は無人の部屋で、妻子や安奈の食後のテーブルを見て、勝手に妻と息子が自分をつまらない奴とバカにしていて、秘書の安奈だけが自分を庇い信頼してくれている姿を妄想し、安奈に感謝する。

しかし次の瞬間、(池島の妄想の中で)安奈が自分のことを「お父様」と呼んでることが気に入らなくなり「お父様じゃない!俺は男だ!」と安奈に対して怒り出すのである。(知るかよ)

その後、荒木に勝手に「なってしまった」池島は安奈を拉致・監禁して、絶えず自分(荒木)をクビにした池島社長自身への悪口を、池島本人が吐きながら安奈に襲いかかっていく。(ややこしい奴)

安奈は、何で池島が池島自身に対する悪口を吐きながら、復讐と称して自分を監禁し犯そうとするのか訳がわからないが(そりゃそうだろ)、途中から池島=荒木は安奈を大陸に売り飛ばすとか言い出し(大陸って…)、その大陸からの人買いが、何故か池島の妻・吉行由実と息子だったりするからさらにややこしい。(これも妄想なのか?)

その合間に、会社で池島はニーチェの本を出そうと仕事に燃え、ニーチェの言った「超人」になろうとし始める姿が描かれるが、その超人池島は結局会社でまた荒木が乗り移った状態で佐々木基子にセクハラし襲いかかる。

だが監禁部屋で、ひたすら自分自身の悪口を言いまくる池島=荒木を、レイプされながら見ていた安奈と佐々木が、池島=荒木と一緒になって、池島がいかに腐り果てたクズ人間かを悪口まつりのように罵り始めると、池島=荒木は半分は自分が悪口言われてるのでどんどん凹んでいくのであった。(笑)

最後は、警察に通報されたはずの池島が捕まっておらず、何故か安奈を監禁していた檻の中で一人寝ていたり、池島と安奈が駆け落ちするショットが脈略なく入ったりと、最後まで突散らかったまんま終わっていく。

この映画の頃(2007年頃)、北野武が「TAKESHIS'」(2005年)や「監督・ばんざい!」(2007年)のような内省的妄想飛び交う映画を撮っていたから、その影響があったのか(無かったのか)は知らんが、しかし似たようなことを山崎邦紀がやると、ここまで変テコな妄想映画になるということがよくわかる映画である。

池島ゆたかは元々芸達者だが、ここではかなり怪演している。

また名監督・荒木太郎もインパクトある好演を見せている。

やはり、やりたい放題やった映画という印象ばかりが際立つ(笑)、中々フリーダムで怪作な一篇。 2017/05/09(火) 00:06:24 その他 トラックバック:0 コメント(-)

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://shoheinarumi.blog18.fc2.com/tb.php/1836-16c024c0