0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『セブン・サイコパス』




マーティン・マクドナー『セブン・サイコパス』再見、

脚本家のコリン・ファレルは、タイトルだけ決まっている新作のシナリオ『セブン・サイコパス』の執筆を依頼されていたが、さっぱり書けないでいた。

友人の俳優・サム・ロックウェルはコリンの執筆を助けようとして、コリンに内緒でシナリオのネタ集めにと、サイコパス募集の広告を勝手に出す。

すると、アメリカ中の凶悪犯を殺してきたと自慢するトム・ウェイツなどが集まってくる。

サムはクリストファー・ウォーケンがやっている愛犬誘拐詐欺のバイトもしていたが、犬を溺愛するマフィア・ウディ・ハレルソンの愛犬を誘拐したため苦境に陥る。

だがいつの間にか、コリンの周りには映画のネタになるようなサイコパスな連中が集まっていた。





ブラックコメディ犯罪映画。

お節介な友人がサイコパス募集をする設定は、マイケル・レーマンの『恋とスフレと娘とわたし』の、母親が娘の結婚相手探しのために、出会い系サイトに募集広告を出す設定に少し似ていなくもないが、映画全体の発想というかプロットが中々面白い映画である。

クリストファー・ウォーケンやサム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、トム・ウェイツ、ハリー・ディーン・スタントンなどなどの、アメリカ映画的に濃い面子の豪華キャストが全員ほぼ適役の好演を見せて、映画を脇から盛り上げている。

『ヒットマンズ・レクイエム』で組んだアイルランドの劇作家マーティン・マクドナーとコリン・ファレルによる、中々秀逸な作品である。

皮肉の効いた描写や、奇抜なプロットから奇天烈に蛇行していくブラックコメディ展開、事態の意外な展開に振り回されて訳がわからなくなりながら対応するコリン・ファレルの変な演技、などなどわりと面白く見られる。

バカバカしいんだか、意味深なんだか、暗黒的なんだか判然としない微妙な混沌さのまま展開していき、絶えずブラックな笑いが散りばめられている。

それでも浮ついたブラックコメディという感じがせず、お話が進むほどにコリンが裏社会の深みに嵌まっていくので、どこまでもノワール犯罪活劇の気配を失わず、それがこの映画の強みと、コクと深みになっている。

それには、豪華なアメリカ映画的曲者名優陣の濃い存在感がうまく一役買っている。

キャラ設定もわりと凝ったシャレの効いたものばかりで、どこもかしこも丁寧にアイデアを盛り込んだ描写になっている、中々の秀作な一篇。 2017/05/06(土) 00:05:36 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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