0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 渡瀬恒彦




渡瀬恒彦氏が亡くなった。

お身体が悪い話は聞いていたものの、4月から始まる『警視庁捜査一課9係』の新シーズンにまた主演されるとのことだったので、あまりに急な訃報がとても残念である。

生涯、現役役者を貫徹された方だった。

石井輝男監督作で、東映でのデビュー作『殺し屋人別帳』の時はクールな若者という感じだったが、『唐獅子警察』や『実録 私設銀座警察』、『仁義なき戦い』シリーズや『沖縄やくざ戦争』、ATG映画『鉄砲玉の美学』他などなどの頃になると、芸能界ケンカ最強伝説を彷彿とさせる(子供の頃からガチで強かったらしい)、ギラついたマッドドッグぶりを全開させ、このギラついた狂犬のような渡瀬氏が個人的には一番好きである。

そして東映カーアクションの二大金字塔である『暴走パニック 大激突』と『狂った野獣』に主演し、東映カーアクション最強の俳優だと思ったものだった。

この二作には、日本のアクション映画の可能性が充満していたので、当時から随分思い入れがあり、渡瀬氏もハリウッド映画に負けないカーアクション映画にしようと、『狂った野獣』では渡瀬氏自らバスのカースタントに挑んでおり、それ故に相当に熱気ある傑作になった。

その他、『銀蝶渡り鳥』に続いて梶芽衣子と共演した秀作『ジーンズブルース 明日なき無頼派』や、バイクアクション映画『狂走セックス族』、東映ピンキーバイオレンスの『恐怖女子高校 暴行リンチ教室』や『女番長 感化院脱走』『女番長 タイマン勝負』『女囚やくざ』などにも出演し、存在感を見せた。

空手映画『極悪拳法』や『女必殺五段拳』他では、ケンカ最強にして空手有段者の渡瀬氏の凄みが出ていた。

また90年代に入って、東映B級ハードボイルド探偵映画の秀作『鉄と鉛 STEEL&LEAD』に主演され、もうかなりの大物名俳優となっていたのに、まるで若い頃、ギラギラしながらよく出ていた東映B級アクション映画に帰還されたような好演を見せ、映画も面白かったが、なんだか嬉しかった覚えがある。

TVドラマでも、主演作『大激闘マッドポリス'80』はとても好きだったが、これにはピラニア軍団の若き片桐竜次氏や志賀勝氏がレギュラーの刑事役に大抜擢されているのも嬉しかった。

渡瀬氏はピラニア軍団の助っ人に名を連ねていたし、東映でガッチリ組んできただけに、そのままTVの刑事ドラマで堂々レギュラー同士でコラボしていることが素晴らしかった。

ピラニア軍団の人たちとは、それから何年か経っての『おみやさん』でも、片桐氏他、野口貴史氏や『狂走セックス族』に主演し、渡瀬氏と共演した白井磁郎氏などが出演し、共演していた。

その他、後のTVドラマ主演作での活躍に通じるような、ヒューマンで人情味ある役どころを、松竹の『神様のくれた赤ん坊』や『震える舌』『時代屋の女房』他などで見せていた。

また『セーラー服と機関銃』『化石の荒野』『戦国自衛隊』他の角川映画でも好演していた。

近年はよく、TVドラマでの主演を精力的にこなされていたが、そこでも西村京太郎原作映像化ドラマでの、十津川警部役は見事なハマり役だったし、『おみやさん』や『世直し公務員 ザ・公証人』シリーズ他なども好きだった。

兄の渡哲也氏とのドラマ共演作も、お互いの個性がよく出ていて良かった。

4月からの『9係』新シーズンには、渡瀬氏自身思い入れがあったようで、復帰を熱望されていただけに、お早く亡くなられてしまったのは実に惜しい。

しかし、生涯現役役者として俳優を全うされた、素晴らしき名優だった。

渡瀬恒彦さん、ご冥福をお祈り致します。







2017/03/18(土) 00:07:15 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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