0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『お天気キャスター・彩』

藤原健一『お天気キャスター・彩』、

川村愛子は、深夜番組にエッチなコスプレをしたお天気お姉さんとして出演していた。

佐藤幹雄はそんな川村にいつもファンレターを書き送り、川村はそれに励まされていた。

川村は日々、先々のことが不安だったが、ある日プロデューサーの稲葉淩一にキャスターとして出世させることを条件に自分の愛人になるよう打診される。

川村がそれを受け入れると、稲葉の尽力が効いて、深夜から徐々にお昼の番組のお天気キャスターに出世していくが、それに嫉妬した高橋りなに嫌がらせを受けるようになる。

川村は佐藤からのファンレターを励みにそれを乗り越え、さらに華々しく活躍していくが。




お天気キャスターの出世話を描いた作品。

川村愛子はおっとりした顔立ちが、夢はあるがそれほど邪心のないキャスター役に合っているし、愛人契約や嫉妬による嫌がらせを乗り越えて精神的に強くなり出世していっても、そのおっとり感があんまり変わらない感じに妙なリアリティがあり、わりと好演している。

稲葉淩一のプロデューサーもそう悪役というわけでもない、いかにもいそうなプロデューサーという感じで悪くない。

佐藤幹雄のファンレターを送り続けるファンも、最初川村の元彼のように描かれているが、後半川村の窮地を救い、対面すると、別のドラマがあることがわかり、そこで川村と照れながら素っ気なく語り合う描写が中々いい。

結局川村は淡々と出世していくのだが、その合間に淫靡な条件や卑劣な試練などがあり、その度に煩悶するものの、徐々にそれに清諾合わせ飲んで立ち向かい、試練を乗り越えていく展開となり、そう綺麗事の成功話が描かれているわけではない。

しかし川村はそれで汚れた女になっていくわけではなく、佐藤が望んだような初心を貫徹したキャスターになっていくところがわりといい。

そういう意味では、意外にドラマ性のある青春映画になっている。

佐藤と川村が簡単に結ばれるような短絡な恋愛展開にもならないし、愛人契約を結ぶ稲葉とありがちな淫靡関係になるわけでもない。

あくまで川村が、汚れた現実に煩悶しながらも、それに立ち向かって乗り越えていき、精神的に強くなっていく女の生き様がメインに描かれ、それでいて元々の初心を川村も佐藤も忘れていないという爽やかな終わり方をする青春映画になっている。

そんな中々悪くない佳作の一篇。 2017/03/14(火) 00:06:35 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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