0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『あばしり一家 THE MOVIE』




石井てるよし『あばしり一家 THE MOVIE』、

近未来、あばしり一家の菅田俊、外岡えりか、なべやかん、神威杏次、イジリー岡田は、凶悪な犯罪者一家としてマークされていたが、ある時捕獲され、治外法権の無法地帯=日本国番外地に収容される。

そこで一家は散りじりになり、全員記憶を消されて虐げられていた。

外岡は転校生の吉川まりあが不良たちにイジめられるのを助けようとしていたが、暴力行為におよぶと何故かいつも激しい頭痛が起こるのだった。

だがイジリー岡田には過去の記憶があり、一家は徐々に繋がりだし、記憶を回復していく。




永井豪原作漫画の映画化作品。

永井豪の原作は、まあ『ハレンチ学園』は日活プログラムピクチャーになったし、『デビルマン』や『キューティーハニー』はそれなりの規模で映画化されているが、『けっこう仮面』は随分小ぶりな映像化だったし、この『あばしり一家』も子供の頃、かなりの人気漫画だったはずだが、それにしては、上映時間70分の随分こじんまりした映画化である。

まさかこんな地味に、B級キャスティングで小さく映画化されてしまうとは正直思わなかったのだが、だからそれはエロシーンを一杯入れてるから故か、と思っていたのだが、しかしそんなシーンは全く多くなく、寧ろこれが永井豪原作か?と言いたくなるほどその手のシーンは控え目である。

ただ小さく映画化されても、井口昇が監督した『おいら女蛮』のように秀作になることもあるので、一概にそれが悪いとは言えないわけで、この映画もB級キャスティングとは言え、全員役にちゃんと合っているし、それほどつまらなくはない。

寧ろ大きく映画化しすぎて『デビルマン』のようになってしまうよりはマシか、とも思える。

一家の面々は、前半は虐げられて受難の時間が流れるが、一家が繋がりだし、記憶を回復すると派手に暴れ出す展開となり、ここで過去の悪業の数々を思い出すことで一家が復活するという展開がこの作品らしい。

ただそれが、国家権力との戦いであるという描写はあまりに付け足しっぽくて、さっぱり説得力がない。

たとえば、かっての鈴木則文の出鱈目な漫画チック喜劇映画は、どれだけ無茶苦茶でバカバカしい描写の連続であっても、権力との対決という描写にはかなり意味深な皮肉をかましていたものだが、この映画はその点がかなり無頓着というか薄味すぎる。

つまらなくはないのだが、映画全体のこじんまり感と物語としての深みの無さはやはりイマイチにも思える一篇。 2017/03/11(土) 00:05:10 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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