0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『痴漢白書7』

石岡正人『痴漢白書7』再見、

真面目なサラリーマン・南川昊(現・岡元八郎)は、優しい妻・児島みゆきと娘を気にかけ、一戸建てマイホームを大事にして平凡に暮らしていた。

ある日、南川は満員電車で痴漢現場を目にするも無視するが、偶然鞄の中に痴漢に遭った女・香月あんなのポケベルが入り込んでいた。

迷う南川だが、香月はキャバクラ嬢だった。






『ウルトラマン80』のイケダ隊員役などのバイプレイヤー、南川昊主演作。

真面目で平凡なサラリーマンが奔放なキャバ嬢と出会い、それを機に逆に家族を見つめ直すお話。

ピンクパイナップルのこのシリーズはにっかつロマンポルノ無き時代に、ロマンポルノの秀作のような作品を幾つか生み出しているが、この作品もその一つだろう。

平凡なサラリーマン南川が、キャバ嬢と出会い、道を踏み外しかけるが、毅然とした態度で香月に接したことで、実はダンサーとしての夢を追う香月に逆に気に入られ、と同時に無意識の内に溜まっていたつまらない生活への不満にも南川が気ずき、そこを通過して家族に回帰するお話が中々いい味わいのドラマになっている。

妻の児島みゆきも退屈な生活に不満がある中、若い男から不倫の誘惑を受けているのだが、なんとか気丈に家庭に帰り、娘も退屈な父親に苛ついていたが、ある父の現場を目撃して、そこに父親の人間的な部分を感じ、家族回帰する。

結局ハッピーエンドを迎えるお話だが、南川が自分とは正反対な人生を送る奔放で夢を追う香月と対峙しながら、自身の停滞した人生を逡巡する場面には哀愁がある。

それでも平凡なサラリーマンとしての矜持を自覚する南川だが、それを見た正反対の生き方の香月は、そこに南川の人間としての”真っ当な魅力”を感じ、それは妻の児島みゆきが、南川に夫として魅力を感じていた部分であることも発覚していく。

まだ売れてない頃の田中要次がチンピラ風の男の役でチラッと出ているが、この頃からよく個性が出ている。

ダンサーの夢を見る香月の描写と並行しながら、小さな家族のちょっとした再生話が緩やかに語られている、わりとよく出来た佳作な一篇。

2017/03/04(土) 00:06:16 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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