0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 鈴木清順



鈴木清順監督が亡くなった。

日本映画史上、おそらく最高に独創的な才人だったと思う。

93歳と長生きされたが、監督、脚本家だけでなく、俳優や随筆家、作家としても活躍された。

監督作としては、実は鈴木清太郎時代から、その個性と才気は発揮されていたと思う。

清順さん独特センスのアイデアとコメディテイストが楽しい『海の純情』、
赤木圭一郎が好演の『素っ裸の年齢』、
元々ミュージカル仕立てだったが、会社に怒られて作り直し、それでも独特な作風となった『8時間の恐怖』、
プロットが面白い上に、白木マリがいい味の『暗黒街の美女』、
奇妙な恋愛映画『らぶれたあ』、
ヌーベルヴァーグ的な疾走感の『すべてが狂ってる』、
俺=和田浩治の周りの人間の話に焦点が移行していく異色作『俺に賭けた奴ら』、
奇妙な銃撃戦のセンスが清順さんらしい『散弾銃の男』、
渡辺美佐子が怪演した、夜中に走行する機関車や、火だるまが不気味すぎる『13号待避線より その護送車を追え』、
実は大人の女の恋愛映画『踏みはずした春』、
中原早苗が怪演の『密航0ライン』に、
露骨に清順節が炸裂する『探偵事務所23 くたばれ悪党ども』や『野獣の青春』、
伊藤弘子に清順的な味がある『関東無宿』、
まるで車が浸水していくかのような雨のシーンが奇妙な『俺たちの血が許さない』 、
格闘シーンのスタイリッシュなアイデア がいい『刺青一代』、
野川由美子主演の女の物語がシュールな仕掛けの数々で異形の映画になっていく『河内カルメン』、
随所に清順的アイデアが強烈に配備された『東京流れ者』、
奇妙なカット割りや演出、シュールなアイデアがごった煮なのに、ちゃんと快活な青春映画の快作にもなっている『けんかえれじい』や『悪太郎』シリーズ、
そして日活解雇とその後の鈴木清順問題共闘会議を引き起こした、具流八郎グループによる、センセーショナルなまでに清順節の頂点を極めたと言える『殺しの烙印』、
その後映画が撮れない時代が長かったのに、久々に撮った梶原一騎原作の映画化が容赦なく清順節全開の出来だった異様な怪作『悲愁物語』、
そして日本映画界や世間に、鈴木清順美学とその独自の映画世界の凄さと、映画としての凄みを徹底的に見せつけた『ツィゴイネルワイゼン』、
プログラムピクチャーと清順節が絶妙にクロスした痛快作『カポネ大いに泣く』、
これも久々に撮ったのに、全くやりたい放題の清順節が嬉しかった『ピストルオペラ』、
などなどが特に好きな作品だった。

他に、遺作となった『オペレッタ狸御殿』に至るまで、清順美学溢れる『陽炎座』『夢二』などの浪漫三部作の二作、日活時代の『暗黒の旅券』『肉体の門』『春婦傳』や、清順的アイデアが随所に明滅する和田浩治主演作ほか、ビデオ作品の『春桜 ジャパネスク』『弘高青春物語』などなどを撮られていた。

またテレビ監督作では、『恐怖劇場 アンバランス 木乃伊の恋』や、清順節をTVで全開させた『穴の牙』、『陳舜臣の神獣の爪』、桜がやたら舞ったりちょっとしたアイデアが少し清順的だった、大江戸捜査網の一話「花吹雪炎に舞う一番纏」、火サスドラマとしてはかなり異色の怪作に仕上がった『家族の選択』他などなど、どれも面白かった。

俳優としても存在感ある演技を見せていたし、随筆も捻りがあって秀逸だった。

またCM演出作にも清順的な間合いが感じられた。

個人的には、最も敬愛する映画監督だった。

鈴木清順さん、ご冥福をお祈り致します。

2017/02/25(土) 02:23:01 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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