0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 松方弘樹





松方弘樹氏が亡くなった。

病気の話は最近よく報じられていたが、そこからお早く亡くなられてしまった。

若い頃は、前にここで評を書いたデビュー作「十七才の逆襲 暴力をぶっ潰せ」や、「893愚連隊」、または「怪竜大決戦」「用心棒市場」他などの東映時代劇で二枚目俳優として好演していた。

大映(出向)時代は「刑務所破り」「皆殺しのスキャット」「兇状流れドス」「眠狂四郎」シリーズ他などで、ちょっと影のあるタイトな芝居を見せていたが、東映で「夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース」「昭和おんな博徒」「不良街」などに出ながら、70年代の実録ヤクザ映画路線で一気にその個性と存在感が大きく花開いた。

「仁義なき戦い」シリーズは勿論のこと、「やくざ対Gメン 囮」での生々しい演技、「北陸代理戦争」「強盗放火殺人囚」「脱獄広島殺人囚」「暴動島根刑務所」「県警対組織暴力」「実録外伝 大阪電撃作戦」「沖縄やくざ戦争」「沖縄10年戦争」「広島仁義 人質奪回作戦」「暴力金脈」他などでのワイルドギッシュでギラついたチンピラやヤクザ、犯罪者役などにはエネルギーに溢れた生々しくも強烈な存在感があり、やはりこの時期の東映ヤクザにおける松方氏の精力的な名演が自分には役者としての頂点ではないかと思える。

また「柳生一族の陰謀」「江戸城大乱」他の東映時代劇でも好演していた。

しかしその後東映ヤクザ映画が下火になり、TVのバラエティー番組で映画での個性とは随分違う明るく楽しいキャラでの出演などが目立つようになるが、Vシネマには亡くなるまでずっとかなりの数の作品に主演していた。

昨年の「列島分裂-東西10年戦争」でも渋い老いたヤクザ役を貫禄で演じていたが、結局晩年に至るまで生涯現役の役者として活躍された。

Vシネ系では、ここで評を前に書いたクライムアクション映画の秀作「ギャングコネクション」ややたらにバイオレンスでガチンコが強い初老ヤクザ役の「暗黒街の帝王 カポネと呼ばれた男」、アウトロー刑事役の「桜の代紋 血の報酬」、うらぶれた探偵役の「ドッグファイター ごろつき刑事」、堂々たるヤクザ役の「獅子の血脈」、これも前に評を書いた、「レオン」を意識した、謂わば老ヒットマンと少女の恋を描いたロリコン殺し屋映画「哀愁のヒットマン」他などなどでの好演が特に印象深い。

「OKITE やくざの詩」「松方弘樹の名奉行金さん2009」は監督作である。

主役や善玉役ばかりでなく、「修羅のみち」では金子信雄ばりに卑劣で情けない悪役の組長役を派手に怪演していた。

またホラー映画「最後の晩餐」でのかなり怪しい感じの刑事役なども、他の作品では見られないちょっと異色な存在感を脇役として醸し出していた。

三池崇史版「十三人の刺客」では十三人の要となる武士を貫禄で演じ、映画自体をきっちり引き締めていた。

その他、刑事コロンボ的倒叙ミステリTVドラマ「チェックメイト78」の佐賀四郎警部役もとても良かった。

日本映画を代表するスター俳優であり、晩年に至るまで精力的に生涯現役役者として主役を張り続けた、実に素晴らしき名優だった。

松方弘樹さん、ご冥福をお祈り致します。







2017/01/24(火) 02:42:24 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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