0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

『女医 絵利子』

小林浩一『女医 絵利子』、

高畠史朗は目的のない人生を生きる若者だったが、ある日腹に激痛が走り、意識を無くしてしまう。

病院で目を覚ました高畠は、眼の前にいた美人女医の絵利子=矢沢よう子に惹かれる。

しかし矢沢はある時男の奴隷として高畠の前に現れる。

それを偶然見てしまった高畠は矢沢に気を使うが、矢沢はあっけらかんと自身の性癖を話す。

実は矢沢は上品そうな見た目の奥に淫靡な本性を隠していた。




ファムファタールのような女医を描いた作品。

この手の題材は、大概最初にSMチックな設定が出てくるとその手のシーンに向けて安直にお話が流れていくことが多いが、この作品は三隅炎雄の脚本が中々凝っていて、矢沢の隠れたSM趣味は、冒頭の矢沢のあっけらんとした態度で、あっさり秘密の儀式でもなんでもなくなる。

結局、この謎めいた行動を取る矢沢の淫蕩な欲望の深みに向かう道筋が、映画自体の先の読めない不可思議展開そのものとなり、この矢沢の淫蕩な欲望に深く接していくプロセスが物語自体の展開となっている。

矢沢というファムファタールに高畠は終始翻弄されて事態の急変に驚き、矢沢の周りの人間たちも皆矢沢の欲望の深みに巻き込まれていく。

そういう意味では、ノワール映画タッチで描かれてはいないものの、中々ノワールチックなサスペンス映画である。

ただまあ低予算映画だからしょうがないのかもしれぬが、ラストがもうちょっと醍醐味のある終わり方だともっと締まった作品になった気はする。

それでも、わりと飽きさせない蛇行展開が秀逸な一篇。


2017/01/21(土) 01:26:52 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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