0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「スキマスキ」




吉田浩太「スキマスキ」再見、

大学生の町田啓太は、隙間があるとついつい覗きたくなってしまう隙間フェチだった。

ある時町田は、隣の家のカーテンの隙間を覗くが、そこには佐々木心音が生活していた。

町田は佐々木の生活を覗くことに執着していくが、ある日その佐々木と友達になる状況となってしまう。

佐々木に惚れている町田は、覗きの罪悪感と欲望の合間で揺れ動いていく。





宇仁田ゆみの同名漫画を映画化したラブコメ青春映画。

吉田浩太は好きな監督だし、才気に満ちた監督だと思っているのだが、この映画は原作漫画の設定に縛られすぎてか、イマイチ吉田監督独特の衝動的な自由度が押し込められてしまっているように感じる。

隙間覗きフェチの主人公なんて設定は、吉田浩太によく合っているし、それがみっともなくもカッコ悪い青春恋愛喜劇になるという展開だって、まあ合っているはずなのだが、しかし、それを独特の視点から描き、独特に展開させるところにその才気が際立つ監督なだけに、起承転結の縛りから着地点まで原作によってほぼ決められていては、どうにも狭苦しい規制の中で映画を撮っているように見えてしまう。

別につまらない出来というわけではなく、まあまあなラブコメ青春映画にはなっているし、町田啓太も佐々木心音も好演しているのだが、やはり町田の家とその隣の家での間で巻き起こるコメディ展開という、その場所的な狭さが、原作縛りの狭苦しさをさらに助長してしまっているように思える。

ただ佐々木心音が、町田をバカにしているのかガキだと思っているのか、まるで心の底から子供扱いしているようなかなり素っぽい笑い方を随所にするところはとても良い。

この佐々木心音の素っぽい、バカにしたようなゲラゲラ笑いに、妙に吉田浩太的リアルさが感じられる。

それがドラマ的にも、説明抜きで町田のガキっぽさを際立たせることに機能しているし、わりとありきたりなストーリーに縛られている映画のガス抜きになっているようにすら見える。

まあ傑作とは言い難いし、監督の才気煥発とも思えない映画だが、別につまらなくはない一篇。 2017/01/17(火) 00:05:29 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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