0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「スプリングフィールド銃」




アンドレ・ド・トス「スプリングフィールド銃」、

ある時、北軍の輸送隊が南軍に襲われるが、北軍では内通者がいるという疑惑が生まれ、隊長のゲイリー・クーパーが疑われる。

クーパーは軍を一時的に離れ、調査の結果、ある牧場主が敵に情報を流していることを知り、その牧場主の側につくが、その裏には黒幕の裏切者がいた。




スローン・ニブレーの小説を映画化した、ゲーリー・クーパーの北軍将校を描いたスパイ映画のような西部劇。

ウオルシュの「壮烈第七騎兵隊」の音楽も担当したマックス・スタイナーの典型的な南北戦争西部劇のタイトなサントラがバンバン流れる中、映画はひたすらストレートかつテンポよく描かれる。

ゲーリー・クーパーの隊長がどんどん左遷され、罠にハマり、軍の中で降格し、敵側の牧場主の方に救いを求めて復活するお話であるかのように展開していくのだが、しかしながら途中から見事にスパイ映画であることがいきなり発覚し、それがまるでミステリ映画のどんでん返しのような様相を見せる。

その意味では、これはひとえに、チャールズ・マーキス・ウォーレンとフランク・デイヴィスの脚本の巧さと、全くぶっきらぼうなまでに定型的なアンドレ・ド・トスの無表情ツンデレ演出が功を奏している映画である。

途中ひっくり返った展開から、さらに実は裏切り者の黒幕をあぶり出すお話であることも描かれていき、まさにミステリ映画のフーダニットのように裏切り者=犯人が発覚していく展開を見せる。

テンポのいい活劇展開にスパイ映画とミステリ映画の要素が混ざり込んだ、飽きさせない面白さの映画になっている。

また、スパイ的なクーパーが唯一信頼出来る妻が、その無知から用意周到なクーパーの正体を黒幕に知らせてしまう皮肉な描写もわりと巧い。

最後は騎兵隊もの西部劇の活劇描写で終わっていくが、しかし緻密かつ用意周到に仲間とスパイ活動を行なっていたクーパーを、その無知と能天気から結果的に敵に正体を売った妻が、全く反省もせず罪悪感にすら苛まれずに、ラストのハッピーエンドで晴れやかな顔をしている姿には正直腹立つ。(苦笑)

その辺りはアンドレ・ド・トスの無表情ツンデレ演出の副作用と言うべきだろうが、そのストレートな無表情タッチが大きく効いている映画でもあり、結果的には脚本や演出が巧いと言える、中々に面白い秀作な一篇。 2016/11/22(火) 01:05:42 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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