0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 ラウール・クタール




ラウール・クタール氏が92歳で亡くなった。

監督作もあるが、ヌーヴェルヴァーグ映画の撮影が特に有名な方だった。

60年代ヌーヴェルヴァーグの時代を支えたカメラマンと言っていいだろう。

特に最盛期のゴダール映画の撮影を多く担当していた。

中でも「勝手にしやがれ」の移動撮影、
「気狂いピエロ」の不可思議にすら思えるカメラワーク、
「ウィークエンド」の流麗と停滞を繰り返す不気味なまでのカメラの運動、
ある種クタール氏のカメラワーク自体が映画のエクリチュールそのもののようだった「はなればなれに」、
特に冒頭カメラの運動に映画の何たるかが全て詰まっていたような「アルファビル」他、「ピアニストを撃て」「突然炎のごとく」「柔らかい肌」「黒衣の花嫁」などのトリュフォー映画における、物語と映画的運動の連携を絶妙に縫い上げていくようなカメラワークの見事さや、フィリップ・ガレル映画「愛の誕生」「彷徨う心」「白と黒の恋人たち」などにおける、ガレル特有の重みのある人生ドラマに切実ににじり寄ったカメラワークなどが素晴らしかった。

ただ前に書いた「アラン・ドロン/私刑警察」の時は映画もこじんまりしたプログラムピクチャー風だったが、撮影も何とも普通っぽかったのだが。

その他、コスタ・ガブラスの映画やジャック・ドゥミの「ローラ」、大島渚の「マックス、モン・アムール」の撮影も担当された。

映画史に残る、屈指の名カメラマンだったと思う。

ラウール・クタールさん、ご冥福をお祈り致します。















2016/11/12(土) 00:06:43 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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