0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「blood ブラッド」




下山天「blood ブラッド」再見、

迷宮入りの殺人事件を追っている正義感の強い刑事の津田寛治は、殺されたメイドの雇い主・美夜子ロジュンベルク=杉本彩の古風な豪邸に聞き込みに行く。

すると杉本は犯人は要潤であると告げる。

その後津田は要のアジトに潜入するが、そこで津田は少女の首に噛みついて血を吸う要を目撃する。

要は実は幕末から生き続ける沖田総司で、杉本にかって血を吸われてヴァンパイアとして生き長らえていたのだった。





杉本彩が妖艶なヴァンパイアを演じたホラーアクション映画。

21世紀初頭に極道映画の脚本で鳴らした武知鎮典が原作・脚本だが、まあお話の展開は別にそうつまらなくもない。

杉本が要潤より普通の男に近いが異様に正義感が強い津田寛治の方に親和性を感じており、杉本によってヴァンパイアになった要が津田にどこか諦観を滲ませて嫉妬するという展開から、それが真逆の時空を超えた純愛譚にひっくり返る終わり方などそう悪くもない。

しかし、やたらと杉本彩がヴァンパイアとして若い男の肉体と生き血を貪るの図みたいな画を入れたがりすぎて、なんかそればっかだなと思わせる映画になっている。

しかもそういう絡みのシーンの描き方がもっと凝っていればよかったが、あまりにワンパターンすぎて、これならそう褒められた出来では全くない、あの叶恭子が主演したり監督した映画の方がまだ芸があったな、と思わせるほどの単調な絡みの描写で、杉本彩はヴァンパイア役に適役な上、かなり熱演してるだけに、実にもったいない映画になってしまっている。

話の展開も本当はそれなりに深みのあるものだろうに、描き方が平板で単調だから、なんとも安っぽい映画に見える。

ひとえに下山天という監督の、平板な描き方や、安っぽくPVチックにまとめてしまう浅いタッチに問題点がほとんど集約されている映画である。

せっかく古い豪邸が出てきたり、幕末の亡霊という設定なら、もうちょっと正統派ゴシックホラー的な気配を出せばいいのに、なんだか派手な見てくれのわりに、ひたすら浅い、平板な安さばかりが目立つ一篇。






2016/09/27(火) 00:06:49 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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