0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「未亡人アパート 巨乳のうずく夜」

吉行由実「未亡人アパート 巨乳のうずく夜」、

薫桜子(現・愛奏)は、結婚したのも束の間、すぐに愛する夫を亡くし失ってしまう。

夫の一周忌が近くなっても、薫は夫を失った喪失感から立ち直れず、喪服姿で家に引きこもっていた。

ある日、死んだ夫の両親が倒れ、管理していたアパートが取り壊しになるので、薫はアパートの住人から是非管理人を引き継いで欲しいと頼まれる。

夫が生まれ育ったアパートの管理人を薫は引き受けることにするが、そこの住人は変わり者が多かった。





夫を亡くした妻のアパート管理人生活を描いた映画。

全体的にほのぼのしたユルめのコミカル喜劇タッチだが、しかしそのほのぼの感が、徐々に愛する夫を亡くして喪失感を埋められない中で明るく振る舞う薫桜子を優しく癒す、メロウな温もりとなってドラマ全体に波及し、実に心温まるやさしい映画に結実していく。

曲者のアパート住人たちにもそれぞれ訳ありな辛い事情があり、それが薫の喪失感とコミカルに交錯していく中で、お互いがほのぼのと癒されていく様態が描かれている。

映画全体のテイストはユルいコミカル喜劇タッチの軽めな映画だが、そのユルさやコミカルさや軽さが、薫の喪失感だけでなくアパート住人全員をユルく優しく包む癒しの温もりに変容してしまう、中々に秀逸な映画である。

これは監督吉行由実の真骨頂とも言えるが、そんな作家的美点がほのぼのとよく出た秀作な一篇。


2016/09/20(火) 00:06:12 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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