0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「キック・オーバー」




エイドリアン・グランバーグ「キック・オーバー」再見、

メル・ギブソンは、マフィアから大金を強奪しメキシコに逃げるが、国境を越えるとすぐに逮捕され、史上最悪の刑務所=エル・プエブリードに入れられる。

エル・プエブリードは金が全ての刑務所で、所長も看守も買収されており、金があればドラッグも女も手に入り、刑務所内での殺人も日常茶飯事の無法地帯だった。

ギブソンはそこで、なんとか盗んだ大金を取り戻し脱獄を狙っていたが、一人の少年と出会う。

少年は肝臓が悪い金持ちの囚人ボスの臓器ドナーとしてもうすぐ死を余儀なくされる状況にあった。

ギブソンは少年と一緒に脱獄を計画するが、盗んだ大金を巡って、マフィアや囚人ボス、悪徳警官らがギブソンの命を狙ってくる。


 

メル・ギブソン製作、脚本、主演の刑務所アクション映画。

監督のエイドリアン・グランバーグはメル・ギブソン脚本、監督作「アポカリプト」の助監督で、この映画が長編映画監督デビュー作。

かって軍隊によって制圧された、メキシコに実在した悪名高き刑務所、エル・プエブリートがこの映画の刑務所のモデルである。

最初のメル・ギブソンの捕まり方が取って付けたような描写なのは、あくまで、続くエル・プエブリード内での描写の前振りだからだろう。

まるで無法地帯の一つの街のような刑務所内でギブソンは巧く立ち回りながら脱獄を狙うが、この刑務所内の環境が中々堂に入った迫力あるワイルドなものなので、どのシーンもがちゃんと画になり、そんな中でテンポよくアクション展開していく。

メル・ギブソンは、前半はそう強面のヒーローキャラではなく、巧妙な立ち回り方をする小悪党という感じだが、徐々にらしいタフさを見せ始め、後半になると、敵の裏をかいて金を手に入れ、脱獄してからはゴルゴ13のように追跡者を狙撃し、マフィアを必殺仕置人のように殺し、刑務所に戻ってからもアクションヒーローぶりを見せつけ、後半は見事に傑作「ペイバック」の時のメル・ギブソンを彷彿とさせるタフなキャラに回帰している。

だから前半はあくまでエル・プエブリードの無法でワイルドな環境の迫力がメインで、後半はメル・ギブソンのアクションメインで魅せる展開となっているように見える。

ヘタすると大味な描写になりやすい題材だが、それをテンポよく緊密に描いている、悪くない佳作な一篇。



2016/09/17(土) 00:06:28 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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