0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「生抜き温泉芸者」

小林悟「生抜き温泉芸者」、

ある温泉旅館の座敷で、客三人が同じく三人の芸者と遊んでいた。

宴もお開きとなり、座敷を去る三人だが、客が三人の中の1人の芸者に声を掛け、二人は隠れて部屋で抱き合う。

残った二人は呆れるが、その後二人は長いこと逗留しているかなり酔った港雄一に会う。

港はリストラされてから旅館にやって来て羽根を伸ばしている顔なじみだったが、あまりに酔っていたので、芸者の葉月蛍は港を部屋まで連れて行く。

すると港は、部屋に眠るまで居てくれと葉月に頼み、葉月は添い寝する。





伊藤清美脚本の温泉芸者を描いた映画。

きっともうちょっと温泉芸者の悲哀を描いたものにもなった気もするが、監督の小林悟は怪談やサスペンス映画はわりと得意でも、こういう情緒ある人間ドラマ的な題材は向いてないのか、それぞれの芸者たちの事情を羅列的に繋げるばかりで、あんまりドラマ的な抒情や悲哀や情緒がうまく出た映画にはなっていない。

それぞれの芸者の挿話の繋げ方がかなりワイルドで(苦笑)、港雄一の挿話ぐらいはもうちょっと何とかなりそうなのに、それもなんだかピンとこない描写で中途半端に終始し、ラストぐらいは少しまとまった終わり方をするが、全体的に稚拙感ばかりが露出したテイストとなっている。

後半になると、ロケ地で撮ってきたお祭りの神輿の場面を、せっかく一杯撮ったからと長く使いたかったのか(苦笑)、延々神輿の祭りの場面ばかりとなり、それがあまりにダラダラ長すぎて、合間に入っているドラマ展開がかなり散漫なものになってしまっている。

と、どこもかしこも締まりのない描写の連続で、怪談映画やサスペンス映画で見せる小林悟の冴えはほとんど見受けられず、稚拙感ばかりが露出している映画である。

しかしまあ、温泉地ののんびりユルユルだらだらした風情を、映画自体がだらだらユルユルであることで体現した映画と言えないでもない。(苦笑)

そんなのはまあ、褒められた話ではまずないし、下手くそな映画の典型ではあるが(苦笑)、その下手くそ感にのんびりまったりした味がないこともない一篇。






2016/08/27(土) 04:56:14 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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