0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「リヴ・アンド・ダイ」




デヴィッド A アームストロング「リヴ・アンド・ダイ」、

深夜0時近くに、パトロール警官のフォレスト・ウィテカーが立ち寄った、マフィアのボスが経営するダイナーには強盗が潜伏しており、犯人は客を人質として籠城していた。

主犯のマイケル・チクリスは仲間を率いてダイナーに乗り込んだのだが、実はダイナーの金を狙っているのではなく、店の金庫に入っている、あるハードディスクを狙っていた。

その後、事態は人質籠城事件となり、地元の警察の人質交渉係がやってくるが、刑務所を出たばかりで偶然ダイナーに居合わせた男と接触した際に、交渉人は事件の背後に黒幕がいると気付く。

実はこの籠城事件の背後には別々の悪党たちのそれぞれの思惑が絡み合っていたのだった。



「ソウ」シリーズのカメラマンの監督作。

タランティーノが90年代に一世風靡した、犯罪的なシチュエーションを時間軸を前後させて語るスタイルで描いたクライム・アクション映画。

しかしながらそこで終わっていない映画である。

ジェローム・アンソニー・ホワイトの凝った脚本は、冒頭に登場するフォレスト・ウィテカーが主演かと思いきや、ウィテカーは実にあっさりした役どころにすぎないし、製作も担当しているTV「ザ・シールド ルール無用の警察バッジ」のヴィック・マッキー役が有名なマイケル・チクリスが主役なようで、やはりちゃんと悪役でもあり、レイ・リオッタの謎めいた脇役的配役なども渋く、と、つまり役者の知名度や格と、配役の重要度を、タラの「ジャッキー・ブラウン」のように意図的に比例させていない。

その上で次々に出てくる人物が、善玉なのか悪玉なのかわからない、しかもどのグループに属する悪党なのかも不明な、どこか人質籠城事件を巡って、不穏な悪党どもが湧いて出てきて絡み合う宴のように描いている。

だから終盤までミステリアスに捻りに捻った展開となり、中々飽きさせない映画になっている。

日本で言えば石井輝男の「大悪党作戦」に近いが、1990年代から21世紀にかけてハリウッドで流行する犯罪映画のニュースタイルを、日本の、しかも自身のホームグラウンドではない、松竹映画で1960年代に先取りしていた石井輝男の先駆性を改めて思う次第である。

しかし石井輝男やタランティーノ、ガイ・リッチーといった先達の真似で終わっていないアイデアとオリジナリティと展開の妙がちゃんとある映画で、これはこれで頑張っている、中々楽しめる犯罪活劇の佳作な一篇。








2016/08/23(火) 00:06:37 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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