0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「モテ女キ」




小南敏也「モテ女キ」、

派遣OLの由愛可奈は、自身の三ツ江という古臭い名前を嫌う、BLマンガ好きで、現実の男と付き合えないオタクな喪女=モテない女だった。

しかし気持ちは焦っており、21歳になる前の20歳のうちに処女を捨てたくて、憧れの派遣先の上司との初体験を妄想していた。

ある日、自殺未遂のオタク風の男を助けたことがきっかけとなり、学生時代に憧れていた先輩男子と再会して誘われたり、助けた男に言い寄られたりと、由愛可奈は急にモテ期に突入する。




最近は新生・恵比寿マスカッツのメンバーとして「マスカットナイト」でバラエティーの才能を天才的に発揮している由愛可奈が喪女役を演じた、明らかに「モテキ」をパクった設定の女版「モテキ」映画。

「マスカットナイト」で見せている由愛可奈のコメディエンヌとしての才気の萌芽が、この映画にはすでに十分見られ、喪女のダサいオタク処女役をかなり面白く怪演している。

急にモテ期が到来して、なんとか20歳の内にSEXしたいがために七転八倒する由愛可奈の変テコな熱情が中々笑わせる。

しかし映画自体は、バカバカしくもカッコ悪い青春恋愛映画にもちゃんとなっていて、ただ単に「モテキ」の設定をパクって女版にしただけの芸のないパロディ映画ではない。

塚田耕野の脚本は、明らかに「モテキ」をベースにはしているだろうが、それの女版パロディに終始しているだけではなく、ちゃんと非モテな男女のダサくもカッコ悪い生態の切実さをバカバカしい描写の中できちんと描いていて秀逸。

また、それを簡潔かつバランスよく小南敏也が演出している。

先輩のオタク女子役の堀口奈津美も脇で中々好演している。

由愛可奈の恋愛対象外だが、終始しつこく彼女に求愛する同じくオタクな非モテ男子との最後の大団円的締めも、そうありがちには終わらせず、ダメでダサい奴らを急に恋愛映画的に美化したりしないで、最後までダメでダサい生態を描きながらの純愛的ハッピーエンドとなっていて悪くない。

珍味ではあるが、そんな意外と秀作な一篇。



2016/08/09(火) 00:42:50 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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