0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「スティーヴ・オースティン ザ・ダメージ」




ジェフFキング「スティーヴ・オースティン ザ・ダメージ」再見、

殺人罪で服役中のスティーヴ・オースティンは、ある日模範囚として仮釈放される。

だが出所すると、被害者の妻がオースティンの前に現れ、実はこの妻が嘆願してオースティンは仮釈放されたのを知らされる。

妻の目的は、心臓病を患う自分の娘の移植手術費用25万ドルをオースティンに捻出させることだった。

あまりの大金を要求されて戸惑うオースティンだが、しかしこの妻(母)の娘に対する必死さを見て、大金が舞う地下格闘技の世界に飛び込み、なんとか25万ドルを稼ごうと決意する。



WWEプロレスのスターレスラーから俳優になったスティーヴ・オースティン主演の地下格闘技アクション映画にして、償いと更生に賭けた男の生き様を描いた、男気ヒューマンドラマ。

アクション映画としての見せ場は、まあ確かに金網デスマッチや、猛犬だらけの場所でのドッグマッチ他、多くの地下格闘技らしいラフファイトにおける、オースティン現役時代さながらの肉弾戦の数々だろう。

しかしながら映画としての根幹は、あくまで娘の命を救いたいものの万策尽きてオースティンに無理な要求をする母親の気持ちに、なんとか応えようとするオースティンの優しい男気や、地下格闘技で知り合った、評判は悪いが根はそんなに悪い奴らじゃない若い男女への信頼の情など、ボロボロで傷だらけの人間同士の絆を描くことの方だろう。

決してそうしたヒューマンドラマが、オースティンの肉弾アクションのための口実として描かれているだけでは全くなく、あくまでそうした哀愁あるエモーショナルなヒューマンドラマが映画の中心となっていることがよくわかる、意外なほどに情緒ある作品である。

オースティンが腹の据わった人情味あるマッチョ野郎役にあまりにピッタリで、深い哀愁を感じさせる表情や演技が秀逸。

それでいて、オースティンが25万ドルや仲間のために、次々と無謀な地下格闘技ファイトに立ち向かっていく展開の面白さもそこに重なり、無謀でワイルドな格闘技映画としての魅力もちゃんとある。

全編、現役レスラー時代のオースティンのファンを喜ばせるようなマッチョなマッスルアクションを見せ場として連続させながらも、ちゃんと傷だらけの人間たちを描いた哀愁あるヒューマンドラマをメインにしているところが良い、中々の秀作な一篇。
2016/07/23(土) 00:34:57 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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