0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 アッバス・キアロスタミ




アッバス・キアロスタミ監督が先日亡くなった。

まだこの間、マイケル・チミノ監督が亡くなったばかりだというのに、映画原理的に本物の映画を撮る貴重な名監督が立て続けに亡くなられてしまった。

チミノ監督の傑作「心の指紋」とキアロスタミ映画は、前にも書いたが実に通底し合っており、特にキアロスタミ監督の「風が吹くまま」とは通じ合うものが多々あると思う。

「友だちのうちはどこ?」のブレッソン映画とはまた違った、少年の素の表情の連続から極めて映画的な日常サスペンスを醸成した秀逸さ。

「オリーブの林をぬけて」の映画全土に漲る美しき映画の裸形のあり方。

「桜桃の味」の諸行無常の響きの彼方まで捉えたような映画的流動体の達成。

「クローズ・アップ」のドキュメンタルな生さと映画的な生さが野合した、その不均衡かつサスペンスフルな魅惑。

「そして人生はつづく」の究極的な映画原理体を視覚化し得たような、もはや身も蓋もないほどの映画原理体と映画の裸形の顕在化。

その他「ABCアフリカ」「トスカーナの贋作」「ライク・サムワン・イン・ラブ」他などなど、安易に傑作映画などという讃え方だけでは括れないような、究極的な傑作映画の数々を撮った監督だった。

イラン映画の名匠などというものを遥かに超えた、要するに、途轍もなく物凄い映画作家だったということである。

アッバス・キアロスタミさん、ご冥福をお祈り致します。
















2016/07/09(土) 00:07:25 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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