0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「制覇」




渋谷正一「制覇」、

本州中部は独立ヤクザが多くいる激戦区だったが、その中心地を縄張りとする組の若頭・小沢仁志は、縄張り争いしている組員に刺されるも相手をボコボコにする。

敵対組織事務所に報復に行った小沢だったが、相手は小沢に宣戦布告してくる。

小沢の組は全国制覇を目論む関西最大組織の系列の中にあったが、敵対組織側は関西大組織の侵攻を防ぐため、中部地域の独立ヤクザ組織が集まる結社に属し、ひとつになっていた。

大組織の二次団体である小沢の組はこの結社に賛同しなかったため、同じ地域で四面楚歌となり対立は激化していく。



地域を支配しようとする大組織系列のヤクザ組織側を主役にしたシリーズ第一作。

冒頭、いきなり主役の小沢が刺されるが、傷が浅いとかでおしぼりを傷口に詰めるだけで暴れ回るシーンがちょっと荒唐無稽に思えるものの、それでも小沢仁志が演じているとそう不自然にも見えないところがある。

時代設定がよくわからないが、赤ヘルかぶった赤軍派の学生運動家に化けて敵対組織の博打場を襲撃するシーンが出てくるから1960〜70年代ぐらいだろうか。

しかしまあ、明らかに名古屋市のことを中日市としていたりするから、設定は基本架空ということかもしれぬ。

結局、川原英之の対立組織と小沢の対決がメインになり、博打場襲撃の報復に小沢の組の組長が殺された後、小沢がその報復に川原を殺してエンドとなるが、このラストの小沢の殺しのシーンはちょっと迫力がある。

襲った博打場に免許証を落としてくるというすごい凡ミスをしでかした小沢の子分が、組長を殺されて、自責の念にかられ敵の幹部を狙うが、その報復のためにカップルを装うのだが、その時の相手の女が不思議ちゃんみたいなヤク中芝居だったりする。

また、その子分の飲み屋をやってる母親が金を持ち逃げする性悪だったり、地元ヤクザで小沢の同郷の先輩、野口雅弘が、川原と揉めた鬱憤を、室内パターゴルフの空振りに八つ当たりしたりと、妙にヘンテコなひねり技を加えていたりするところもある。

エンドロールに、音楽を宇波拓が担当してる絡みからか、宇波とはコラボもしているブルースシンガーAZUMIの「播州平野に黄砂がふる」が流れるが、これが中々いい曲である上に(カニコーセンのカバー)この作品のエンドによく似合っていて秀逸である。

基本は定番極道Vシネ風だが、それでも随所に多少の捻りや個性が見え隠れする一篇。










2016/06/07(火) 00:05:52 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://shoheinarumi.blog18.fc2.com/tb.php/1738-dee40dbc