0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「湾岸最速バトル スカイライン伝説」




小美野昌史「湾岸最速バトル<スカイライン伝説>」再見、

大鶴義丹はかっては湾岸を飛ばした走り屋だったが、今は普通の製薬会社のサラリーマンだった。

昔の仲間の宍戸開らがNew GT-Rなどの最新の車で湾岸を走るのを横で見ていた大鶴だったが、妻の死をきっかけにして、20年前に自分が乗っていた鉄仮面=スカイラインDR30にもう一度乗ることこそが自分が今本当にやりたいことだと気づく。

大鶴は廃車寸前だった鉄仮面をなんとか取り戻し、究極のチューニングで復活させて、湾岸で多くの車を追い抜いて事故の原因まで誘発している、現代の最新モンスターカー、黒い悪魔ことポルシェ996に対抗しようとしていた。

大鶴は伝説のチューナー・夏木陽介を探し当てて再会し、なんとか頼み込んで何度も鉄仮面をチューンナップし、ドライビングの試行錯誤を重ねるが、そのうちついに鉄仮面の性能は最新ポルシェを上回るほどの飛躍的向上を見せ、いよいよ鉄仮面対黒い悪魔のデッドヒートが湾岸で始まる。




大鶴義丹が脚本、主演したカーアクション中年青春映画の傑作である。

20年前に乗っていた鉄仮面を買い戻し、現代のモンスターマシンに対抗するお話だが、妻を失ってから、かっての青春時代の胸の高まりを思い出そうとする大鶴の中年青春映画の側面と、20年前の廃車寸前スカイラインを夏木陽介と共にどんどん凄ざましいマシンにチューニングしていくシーンの面白さが掛け合わされて、かなり醍醐味のある作品になっている。

つまり本来のこうした作品の見せ場や売りであるカーアクションシーンばかりが目玉の映画ではなく、大鶴の中年青春映画的な心情描写と、廃車寸前のロートルな車を、夏木陽介という匠と共に、現代のモンスターマシンを上回るほどの凄ざましいマシンにチューニングしていくカーマニアックな描写を丁寧に描いたところが最大の魅力になっている映画で、そういう意味では「ロッキー」に匹敵するような魅力がある作品である。

「湾岸」シリーズに多く出演してきた大鶴義丹だけでなく、伝説のチューナー役の夏木陽介がまた見事に適役で、ラストには中年青春映画の爽やかな哀愁すら感じられ、実に見事な作品に結実している傑作な一篇。




2016/05/14(土) 00:54:41 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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