0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「殺す女 女の犯罪ファイル」

吉村典久「殺す女 女の犯罪ファイル」再見、

原田里香はチャットで意気投合した小野砂織と会うが、小野は派手なアメ車に乗るビッチ風の女で、車のトランクには男の死体があり、原田は死体を埋めるのを手伝うことになる。

だが原田も愛する夫に裏切られ夫を殺していた。

金のために男と寝ては殺す小野に共感は出来ないまでも、一緒に車の旅をするうちに原田は仲間になっていくが。





女二人の殺人とSEXの旅をロードムービー的に描いた日本版「テルマ&ルイーズ」ノワールバージョンみたいな作品。

古いバカでかいアメ車で逃避行の旅をするショットには、明らかにアメリカンパルプノワールを日本でやっているような気配が漂い、屋内の凝った照明効果にもパルプなアメリカンテイストがあり、その辺りはわりと頑張っている。

小野砂織は今では通販番組のやり手バイヤーとしてたまに見かけるが、この頃はアメリカンビッチ感満点のチープさを漂わせ、役によく合っている。

小野は男を殺しまくるが別にサイコパスではなく、人並みに女の幸せを求めていたり、原田の心の傷に同情的だったりと、随分情のある殺人鬼という役どころで、それとどこか壊れている原田のエモーションが微妙に絡み合って描かれているメロウ感がわりといい。

過去と現在を随所に交錯させる語り方はこの作品が製作された頃に流行っていたスタイルだが、それがそう悪くない。

終盤、小野が好きな男・真夏竜と幸せになりたくて急にしおらしくなり、逆に原田が夫殺しで指名手配となり逃避行に積極的になって、結局皮肉なバッドエンドで終わる。

なのにエンドタイトルに流れる曲が明るめな軽ロックンロール調なのは明らかに全てぶち壊しの選曲ミスだが(苦笑)、全体に流れるブルージーなサントラにはとても情緒があり、こちらはかなりいい。(それだけにエンドタイトルのテキトーすぎる選曲ミスが残念だし変すぎる)

小野砂織も原田里香も情感を出して好演している。

日本でアメリカンパルプノワール映画のテイストをわりと出している中々メロウな佳作の一篇。





2016/03/08(火) 00:05:18 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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