0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」




三池崇史「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」再見、

正義感は強いが問題も多い交番勤務の巡査・菊川玲二=生田斗真は、吹越満の上司からクビを宣告されるが、実は関東一の暴力団のトップ=岩城滉一を逮捕するために、モグラ=潜入捜査官に任命されたのだった。

最初は警察側が仕掛けるドッキリのような設定で生田は色々試されていくが、悉く合格する。

ある時、たまたま岩城の組傘下の若頭・堤真一と仲良くなった生田は、その後は堤を通して多くの試練を乗り越えながら、徐々にモグラとしてヤクザ組織と岩城に近ずいていく。





高橋のぼるのコミックを、三池崇史&宮藤官九郎コンビで実写映画化したアクション喜劇映画。

まあ一言で言えば、マンガを三池お得意のマンガチック描写で描いたコテコテのアクション喜劇である。

そもそも公開が春先で東宝作品とくれば、三池の場合、お仕事系の箸休め的コテコテエンタメ作になることも多いので、その上主役がジャニーズの生田斗真だし、公開時も大して期待していなかったが、130分もある長い作品にしては、スタスタと展開が進んでいき、大したお話ではないがわりとスッキリ見られるようには語られている。

確かに生田と岡村隆史とのバトルシーンやら、後半の麻薬の取引現場確保の活劇描写とかは、本気の時の三池のアクション描写を軽くなぞったようなソフトタッチだし、バラエティー番組のようなコテコテな笑いに終始していて、宮藤官九郎がわりかしスムーズにお話を進めていく脚本を書き、それを三池がスッキリ描いている見易さぐらいしか美点はない。

せいぜい、やたらとまどろっこしかった三池&宮藤コンビの「ゼブラーマン」よりは多少マシという程度の出来である。

そう大した映画だとは思えないし、下品なおふざけやギャグの数々だって爆笑というほどのものではない。

春先によく三池が撮る東宝コテコテエンタメ映画の中ではまだマシな方というだけだろう。

しかし本当は、この映画は大駄作として失敗してしまっていても不思議じゃないほど、何ら新味のないお話、描写、展開の映画である。

ひたすら三池が90年代にVシネその他でやっていた、すでに消費されきったことをさらにベタベタにしてユル〜く膨らましているだけの映画だ。

そんなダメ映画要素満載の作品なのに、それがそれほど退屈もせず、映画自体にちゃんとした流れが出来ていて、先はまあまあ読めるし、くだらないお話にしかなっていかないものの、それなりに面白くないこともないという不思議な映画ではある。

おそらく、意外なことに、そのベタベタのユル〜く膨らましているだけの浮遊感がそう悪くないのだろう。

ほとんどくだらないバラエティー番組を暇つぶしで見ていたら、くだらないけれどもそれなりの暇つぶしにはなったという程度の映画なのに、その暇つぶしとしての機能ぶりに、何故かしらマンガチックなエンターテイメント映画に徹した魅力がある。

だから大して褒められなくてもいい映画ではあるものの、こういう映画をどれだけ真面目臭く貶しても、どこかこの映画にはマンガチック映画に徹したおおらかさが残るのである。

生田斗真は、こんなくだらないバラエティー番組みたいな映画で中々熱演しているし、映画をちゃんと引っ張ってもいる。

脇の役者陣だって、的場浩司が意外とセコイ小さなチンピラ役というキャストがせいぜい目を引くくらいで、堤も遠藤憲一も皆川猿時も、そう好演してるというほどの芝居はしていない。

それでもこれがバラエティー番組みたいな映画だとよくわかっているような芝居をしている。

この映画は一言で言えば、何もかも全てが茶番だが、だからと言ってダメ映画ではあっても一概につまらない映画ではない。

そんな、不思議とそう退屈はしない一篇。


2016/02/13(土) 01:13:45 東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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