0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「プールの時間 憧れのスクール水着」




鴨川哲郎「プールの時間 憧れのスクール水着」、

多額の借金から逃げている優木里緒奈は、身を隠すために、学生時代の友人で教師をしている男を訪ねる。

教師は匿う代わりとして、元国体の水泳選手だった優木に、自分が世話している水泳部の顧問をやってほしいと頼む。

嫌々顧問を引き受けた優木だったが、ダメな生徒達を無理矢理集めて交流していくうちに優勝を狙いはじめ、生徒とともに徐々に練習に熱心になっていく。

しかし水泳大会には八百長じみた裏があり、学校側の大人達の陰謀に優木は巻き込まれていく。




借金まみれの女と生徒の交流を描いたスポーツ青春映画。

しかしバブル期頃のいかにもいい女系の優木里緒菜の絡みのシーンやらを随所に入れざるを得ないジャンルでやっているので、爽やかで清新なスポーツ青春映画ではない。

先生をレイプしようとする生徒やAVを撮ろうとする生徒から、水泳大会で八百長博打をやり金儲けを企む先生などが出てきて、随分汚れた現実の中で、水泳に打ち込むダメ生徒たちと汚れた女の立ち直る生き様などが描かれている。

青春映画的なわざとらしさがなく、絶えず醒めた現実的な視点やダーティさが入りこみ、そんな中で水泳大会に真剣に勝利しようとするようになる熱い気持ちが描かれている。

その描き方も随分屈折した喜劇タッチで描かれ、最後町を去る優木と生徒たちの別れの場面も妙なお涙描写にはせず、随分ドライな描き方の中にちょっとしたペーソスを盛り込んでいる。

故に東宝などのメジャー会社が作るわざとらしい爽やかスポーツ青春映画なんかより、よっぽど捻りも芸もある作品になっている。

優木里緒菜はそう芝居がうまいとも言えないが、しかし随所の肝心な場面で見せる微妙な表情の変化やエモーションの出し方はかなり良いし、この時期Vシネマでよく好演していた佐々木彩もいい味を出している。

メジャーな会社のスポーツ青春映画のように陽の当たる場所で語り継がれたりはしない作品だが、Vシネエロス系にカテゴライズされながらも、その実、メジャー系のスポーツ青春映画よりも遥かに安い予算で作られているのに遥かに安い描写を排している。(多少ベタな喜劇タッチはあるものの)

そして現実の汚れや屈折も十分描きつつ、中々に芸のあるスポーツ青春映画にしている。

生徒たちの成長より、優木の女としての腹の括り方に焦点を当てているところがいい、意外と佳作な一篇。
2016/01/12(火) 01:14:55 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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