0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「日本犯罪史 飼育の罠」





末永賢「日本犯罪史 飼育の罠」、


平成の時代に入り、名古屋にて謎めいた男・岡崎二朗が現金輸送車を襲い逮捕された。

調べを進めていくと岡崎はとんでもない犯罪者であることが発覚する。

過去に色んなところで起こった未解決事件に岡崎が複数関わっていたからだ。

そしてその多くの犯罪歴には、巨大カルト集団による犯行と思われていた警察庁長官狙撃事件の容疑すら含まれている可能性が出てくる。

のらりくらりと尋問をはぐらかす岡崎に対し、大阪の刑事・館昌美は慎重な態度で岡崎に臨み、徐々に証言を取っていくが。



現実にあった事件をモチーフにした日本犯罪史シリーズの最終章で、老いたインテリテロリストのような岡崎と刑事たちとの静かな攻防を描いた作品。

最初警察への軽蔑心からまともな話をしない岡崎だが、館が岡崎のプロテロリストとしてのプロ意識に対する理解を深めるほどに岡崎は心を開いて自白するようになる。

確かに刑事と犯罪者の心理的な駆け引きをスリリングに描いているが、どこか無謀な犯罪者に見える岡崎なりの犯行理由なりプロ意識を明確にしていくことがメインとなっていき、刑事の館は岡崎への理解を深めることで信頼を得、犯罪の自白を勝ち取っていく。

しかし終盤には警察組織の事情により、事件の真相を明かせない上にそれ以上追及出来ない事態となり、ぶち当たる壁が口の堅かった岡崎から警察組織の闇へと転換していく。

どこかセミドキュメントのような渋いタッチで描かれ、岡崎も館も中々いい味を出して好演している。

途中かすみ果穂と館の不倫の絡みのシーンがやたら入るが、まあこれは地味で渋いテイストの中のサービスシーンといったところかもしれないし、取り調べでは至って真面目な館の人間臭い部分の描写とも言える。

サスペンスフルな展開を見せる、わりと締まった出来の佳作な一篇。 2016/01/09(土) 00:10:27 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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