0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「美人妻白書 隣の芝生は」

城定夫「美人妻白書 隣の芝生は」、

売れない作家の柴田=吉岡睦雄とやり手キャリアウーマンの妻の夫婦関係はうまくいっていなかった。

ある時、柴田夫妻のマンションの隣室に、漢字違いの芝田夫妻が引っ越してきて、一日中家でしがないライター仕事をしている吉岡と隣の芝田家の専業主婦、古川いおりは徐々に親しくなっていく。

その後芝田家宛の宅配便を配達員が誤配し柴田家に届けたため、吉岡は中を見てしまうが、中には際どいランジェリーが入っていた。

誤配に気がついた吉岡は隣の古川に宅配便を届けるが、昼間から酒を飲んでいた古川の家に上がって話すことになる。

実はランジェリーは古川の夫が妻のために買ったものではなく、浮気相手のために買ったもので、夫婦仲がうまくいっていないことを古川は吉岡に告白し、お互い伴侶との関係が冷え切っていることを知るが、不意なことから吉岡と古川は不倫の関係になっていく。



城定秀夫の夫婦艶笑恋愛映画。

監督クレジットが城定夫となっているから、この作品は撮影日数1日の早撮り作品ということになるが、そのわりには決してやっつけ仕事的な作品ではなく、隣同士の不倫カップルの恋愛話をほのぼのとした情緒で味わい深く楽しく描いている。

解放された吉岡と古川が、不倫の関係を結ぶほどに子供のように生き生きとしてくるところには、不倫ものではあるが、青春恋愛映画的な瑞々しさすら感じられる。

途中唐突に、イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレードの「パレード最適」について語られだすが、実はこれはハッピーエンド的なラストのオチの伏線であり、結局まあそうなるしかないわなというパレード最適の通りに両夫婦は収まって終わっていく。

そこには今の経済格差の時代における合理的かつ人間的な問題解決への意味もサラリと込められているように見える。

軽いタッチの早撮り作品だが、吉岡、古川が両方ともちゃんと個性を出して好演しているし、さすが城定らしく、この手のライトな艶笑恋愛映画の魅惑点を情緒豊かにきっちり出している佳作な一篇。





2015/12/12(土) 00:11:04 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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