0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 原節子




先日原節子さんが9月に亡くなっていたことが報じられた。

享年95歳とは長生きされたと思う。

映画界は随分前に引退されているが、やはり日本映画史に残る、伝説の別格大女優として語り継がれてきたし、実際それだけの大女優だったと思う。

山中貞雄の「河内山宗俊」、「わが青春に悔いなし」「安城家の舞踏会」「青い山脈 前後編」「お嬢さん乾杯」「白痴」などの好演が有名で、「東海美女伝」「女医の診察室」「新しい土」他などでも好演されたが、やはり原さんと言えば小津映画だろう。

「晩春」「東京物語」「麦秋」「東京暮色」「秋日和」「小早川家の秋」などで圧倒的な品格の存在感を見せたが、その博愛的な優美さという点では、「白雪先生と子供たち」の 子供たちを優しく指導し慕われる白雪先生役なども見事に適役だった。

また成瀬巳喜男の「めし」での好演や「山の音」での哀しい情感を抒情的に演じた名演なども実に素晴らしかったが、博愛的で健気な女性ばかり演じていたわけではなく、「愛情の決算」では不倫役、「結婚の生態」では小津映画とは違って嫉妬もすれば、キレやすかったりもする人間臭いキャラを演じていた。

また「智恵子抄」では精神分裂になっていく智恵子役を演じ、その狂っていく姿は恐ろしくもあってまさに大怪演であり、これは小津や成瀬映画の時の好演とはまた違った、もう一つの女優・原節子の代表作ではないかと思う。

その存在感自体が、どこか浮世離れした博愛と優美な品格に満ち溢れているように思える方だったが、それは映画自体が持っている品格の体現なのかもしれないとすら思ったことがある。

やはり伝説の大女優と呼ばれるに相応しい方だったし、これからもそう呼ばれ続けていくのではないかと思う。

原節子さん、ご冥福をお祈り致します。





2015/12/01(火) 00:55:29 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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