0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「カオリと機械油」

北川帯寛「カオリと機械油」、

兵庫県尼崎市の小さな潰れかけた機械工場で働く松永渚は、かなり年上の姉、兵頭佑香と二人暮らし。

性格がキツく派手で色気があり、男にもモテ、スナックをやっている姉の兵頭と較べて、地味で男にモテず、ワキガが臭い松永はただ暗い生活を送っていた。

しかもある日、とうとう松永が働く工場が倒産し、松永が好きだった社長が行方不明になる。



文化庁委託事業「ndjc 若手映画作家育成プロジェクト2013」の作品。

お話自体はひたすら暗くてロクなことがなく、もう暗転に次ぐ暗転を生きる松永を描いたものなのだが、不思議なことに、これだけの陰々滅々なお話が、全体的には妙にカラッと可笑しい人間喜劇になっているところが秀逸である。

これはやはり関西を舞台にしたこと故の為せる技かもしれないが、事態が暗転していく度に人間臭くかっこ悪いコミカルさが随所に可笑しく顔を出すのである。

妹の松永とは正反対の恵まれた存在に見えた姉の兵頭すら、暗転し出すと妙に人間臭いかっこ悪さとなる。

というか、ここには結局派手だがかっこ悪い奴と不器用でグズな奴しか出てこないのだが、映画らしい繊細な画作りの画面でじっくりかつ簡潔に描きながら、そんな人間たちのどうしようもなく暗転しまくる陰々滅々の生=人間喜劇を奇妙な可笑しさを露出させて描いている。

役者陣にみんなアクの強さがあり、それが映画自体をもアクの強いものにしている感じがする。

最後派手に開き直って多少強くなる松永だが、女のダメダメ青春映画としてはわりといい出来と言える佳作な一篇。 2015/11/03(火) 00:58:57 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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