0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「CMタイム」




久保田誠二「CMタイム」、

大手飲料メーカー・タイガードリンクの新製品、9(ナイン)のCMをコンペを勝ち抜いて受注できた広告代理店、電報堂の豊原功補や本仮屋ユイカら社員は、わがままな演歌歌手、黒木瞳や大御所俳優の中村嘉葎雄、スポンサーなどに振り回されてCMを作るが、黒木と中村には因縁があり、加藤和樹には事務所などに事情があり、何かとトラブルが頻繁する。


久保田監督主宰の劇団キリン食堂の舞台劇を映画化した業界喜劇映画。

監督自身が元々広告業界の人なので、その経験を活かして喜劇にしているようだが、しかしそのわりには、80年代の広告業界自体がブームの時代に大量に作られた業界の内幕や裏側を描いた映画やドラマ、漫画と大差ない新味のなさでしかなく、なんだか生々しさの薄い、知ってる情報ばかりで作られた業界喜劇という感じである。

ホイチョイプロ製作の映画程度のリアルな内幕描写の際どさも薄い。

喜劇映画という点でもありがちなものだし、確かに豊原功補は代理店の人間の役にピッタリで、こういう人リアルにいるなと思わせるものの、演出もベタだし、なんだか80年代に散々作られたものをしょんぼり地味でありがちに今更映画化しただけにしか見えない。

最後に七転八倒した挙句、CMが出来上がってもまるで感動が薄いし、全体的にヌルい出来である。

まあそのヌルいまったり感が、別にそういう映画もあってもいいだろうとは思うのでそう嫌いではないが、ただそれだけの映画である。

この監督が前に撮った「地下室」でバブル時代を謳歌したけど、その後のデフレ時代には落ち目になっているOL役で主演した中島史恵がまたエロっぽい怪しい芸能事務所の社長役でチョロっと出ているが、あちらも妙に全体的にヌルい感じだったのを思い出した。

あからさまにつまらなくはないものの、実にどうということもない一篇。
2015/09/01(火) 00:59:43 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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