0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「サービス残業の女 制服陵辱」

亀井亨「サービス残業の女 制服陵辱」、

高宮りこは銀行に勤めるOLだったがグータラな彼氏に金を要求され、いつしか銀行の金に手をつけてしまう。

その横領の事実を掴んだ支店長は自分が補填すると言いながら、代わりに高宮の体を求めてきた。

それだけでなく、若い行員から金を取って高宮を抱かせる。

高宮は彼氏が他の女と浮気している現場に出くわし、静かにブチキレる。




亀井亨超初期の作品。

劇場映画デビュー作「心中エレジー」が注目されたのが2005年だから、この2001年のVシネマはその4年前の作品ということになるが、すでに中々亀井亨らしい息吹が感じられるものになっている。

冒頭からチコ&ジプシーズみたいな派手にギターをかき鳴らすサントラが気になるが、だらしない男や狡猾な銀行員に陵辱されていく女を描いただけのエロス系かと思いきや、後半は女の体を張った復讐ノワールアクションのように展開し、あの冒頭からのギターをかき鳴らしたハードだが哀愁のあるサントラは、実は女の復讐のテーマ曲だったことがわかり中々感無量である。

これはつまり、女版「ガルシアの首」なのだろう。

当時AV女優だった高宮りこは台詞はたどたどしく棒読みだし、表情の芝居もほとんど出来ていないのでお世辞にも芝居がうまいとは言えないのだが、しかしながらこの高宮の表情の無さやたどたどしさが、自己表現や自己主張が出来ず、だらしない男の犠牲になり、狡猾な大人に陵辱され続けてしまう女の役どころには逆にリアルすぎるくらいピッタリなため、終盤たった一人でヤクザに抱かれて拳銃を手に入れ、一計を案じて男たちに体を張って復讐し、ラスト傷だらけで一人去っていく姿になんとも言い難い哀愁があり、それをギターをかき鳴らしたサントラがさらにメロウに増幅させており、実に味わい深い傷だらけの女の悲しい青春映画になっている。

なんというか、「女囚さそり」と「ガルシアの首」の哀愁が合体して女の悲しい青春映画になったような作品だが、描写の方にもたどたどしいところはあるものの、しかしこれは亀井亨超初期の異色の傑作と、あくまで個人的には言いたくなる一篇。
2015/08/08(土) 00:10:17 Vシネマ トラックバック:0 コメント(-)

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