0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「800万の死にざま」




ハル・アシュビー「800万の死にざま」再見、

ロスの刑事、ジェフ・ブリッジスは捜査中に人を殺したことをきっかけにアル中になり、休職、離婚後、リハビリを経てようやく社会に戻ってくる。
復帰後のあるパーティーに出たジェフはある女と出会うが、不意に女は助けを求めてくる。

実はパーティー は黒人マフィア経営の高級売春クラブがやっているもので、ジェフは女を助けようとするが、女は殺されてしまう。

ジェフは女の友人ロザンナ・アークエットに会い、女を殺した犯人をなんとか突き止めようとするが。





ローレンス・ブロックの原作を映画化したハル・アシュビー監督作。

この二年後にアシュビーは死去し、これは最終作。

脚本にはオリバー・ストーンが参加している。

ジェフ・ブリッジスのトラウマ抱えた姿と現実のアクションを混在的に描いているので、まるで映画全体がジェフの見ている悪夢の内部に入りこんでいるかのような不気味なテイストが全篇にある映画だが、話の筋からすればよくある犯罪劇であり、犯人もだいたいすぐわかるし、最後のゴタゴタしたやり取りなんてコントみたいである。

アンディ・ガルシアが怪しい悪役をやっているのは印象深いが、ミステリー映画やサスペンスアクション映画としては単調にすぎる。

だいたいアシュビーの得意ジャンルの映画とは言い難い題材だが、とは言え、サスペンスミステリーハードボイルドとしてはイマイチでも、アル中でトラウマ抱えたジェフやロザンナ・アークエットの捉え方に奇妙な病理感があり、ゆえにそれが映画自体の悪夢的気配に繋がっているところがあって、妙に不思議な味のある映画にはなっている一篇。


2015/07/21(火) 01:02:52 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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