0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「相棒 ‑劇場版III‑ 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ」




和泉聖治「相棒 ‑劇場版III‑ 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ」再見、

特命係の杉下右京=水谷豊と甲斐享=成宮寛貴は、今は警察庁にいる元特命係の神戸尊=及川光博から、ある孤島で起きた死亡事故と島の噂に関する秘密調査を頼まれる。

その島はある実業家が個人で所有する島で、自衛隊員が共同生活で訓練をやっていた。

二人は捜査を開始するが、右京はすぐに死亡事故は殺人ではないかと疑い出し、その後島にまつわる巨大な闇が見えてくる。




「相棒 」劇場版シリーズの三作目。

「相棒」の劇場版はこれまで、他のテレビドラマシリーズの劇場版が大概どうしようもない愚作になる傾向がある中、極めて例外的にドラマのレベルを下げず、また劇場版ならではの醍醐味まで付加してきた稀有な傑作シリーズだったのだが、この三作目でついにいかにもテレビシリーズの劇場版らしいイマイチな出来なものになってしまった。

これならテレビでたまに放映される二時間、三時間の拡大版「相棒」スペシャルバージョンの方が上である。

一番の問題点は国家規模の陰謀話とショボすぎる馬小屋のトリックの話に落差がありすぎてミステリとしても「相棒」としてもアンバランスなものになってしまった点だろう。

しかしながら「相棒」はこれまで日常の小さな事件の背後に国家規模の巨大な陰謀があることをミステリ的な醍醐味としてリアルに見せることにはかなりの巧さがあったシリーズである。

だからそれほどこの劇場版が「相棒」らしからぬ設定というわけでもないのだが、やはり最初に国家防衛だの孤島における自衛隊の訓練だのその孤島の噂だの疑惑の死体だのと相当に物々しい大風呂敷を広げておいて、それが何ともショボく収まりこんでしまうという展開が難点で、それじゃあよそのこけおどし気味のミステリ映画と変わらんじゃないかということになってしまう。

別に役者陣が悪いわけでも演出が劣化したわけでもないが、言わば構成がつまらないが故にありがちなミステリ映画になってしまった点が一番の問題点だろう。

そんなちょっと残念な出来の一篇。


2015/06/30(火) 00:20:29 東映 トラックバック:0 コメント(-)

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