0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

追悼 高橋治

高橋治氏が亡くなった。

直木賞作家として有名な方だったが、元々は松竹の映画監督である。

映画方面でも小津安二郎の助監督だったという紹介が多いが、れっきとした松竹ヌーベルヴァーグの名監督だった。

松竹ヌーベルヴァーグの中ではノワールやサスペンスミステリ的傾向の作品をよく作っていた。

ここでも作品評を書いているが下層の立場から政治的世界の欺瞞をノワール的な活劇ドラマの中で描き出した秀作「非情の男」。
被害に遭った女性の心中がミステリ的な謎を呼び、それを思いやる主人公の心理をメインに描いた意味深なサスペンスの佳作「彼女だけが知っている」など秀逸であった。

ミステリ映画ではないが、中東戦争勃発直前にイスラエルとの合作が決まった、イラン映画的生々しさが感じられる「少年とラクダ」も忘れ難い。

しかしウィリアム・アイリッシュの原作を映画化した「死者との結婚」はサスペンス映画としてもミステリ映画としても、またはノワール劇としても格段の大傑作で、個人的には松竹ヌーベルヴァーグ最高傑作の一つにして日本(または世界)ミステリ映画史上に残るべく傑作だと思っている。

映画監督としても実に優れた方だったと思う。

高橋治さん、ご冥福をお祈り致します。




「彼女だけが知っている」


2015/06/20(土) 00:40:33 R・I・P トラックバック:0 コメント(-)

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