0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「龍三と七人の子分たち」




北野武「龍三と七人の子分たち」、

藤竜也は元ヤクザで、息子夫婦に疎まれていたが、ある時オレオレ詐欺の電話に反応し電話側の人物と会うが、元ヤクザとして指をつめると言い出したので相手は逃げてしまう。

藤は子分の近藤正臣とハングレ集団がかってのシマを仕切っていることを憂い、昔の仲間を集めて組を旗揚げし対抗しようと暴れ回る。



北野武の老人ヤクザコメディ。

今の世間を皮肉った描写が多く、どこにもシニカルでブラックな笑いがあり、怒鳴りあうヤクザ映画描写ばかりなのにキッチリ喜劇映画になっている。

寧ろ独自の実験作が多い北野武が絶滅寸前の往年の傑作プログラムピクチャーを復活させたような趣で、そこに自身の芸人としてのブラックな笑いの芸風をふんだんに盛り込んでいる。

その意味ではビートたけし監督作の趣もある。

北野武的な闇の描写は表面化しないが、後半の殴り込み前の描写にはかってフライデー編集部にたけしが殴り込んだ時の感じもして、終盤には藤竜也がたけしの分身にも見えてくる。

藤竜也他老人俳優は皆好演しているし、老人たちをそう善玉にはせず元ヤクザらしく描いてるところもいい。

シニカルな面白さに徹した秀作な一篇。 2015/04/28(火) 00:53:11 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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