0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「琥珀色のキラキラ」

中野量太「琥珀色のキラキラ」、

おかっぱ頭の中学生、松原菜野花は母が死んだ後、小市漫太郎の父と暮らしていたが、ある時父に彼女が出来て関西弁の尾野真千子が二人の間に入ってくる。

だが父は癌ではないかという疑惑が生まれ松原は不安になる。




文化庁若手映画作家育成プロジェクトの作品。

この映画の頃より、尾野真千子も滝藤賢一も有名俳優になっているので妙に豪華な短編映画という感じがする。

途中父の癌の話になり安い泣ける映画展開になるが、尾野と松原の関係話に転移して小さな家族の話かと思いきや、最後の結末と一言のオチで全てを外して現実を見せることで、映画の見せかけの演出パターン=形式の嘘というものを皮肉った終わり方をする。

でもそれは所詮パロディコントの手法でしかないのだが、ただ結末は現実的になっても、瞬間的に父を心配した松原の気持ちや尾野が松原に向けた真摯さ自体は本気なものだったろうから、シニカルパロディコント手法を用いてパターン演出や物語形式の虚構性を皮肉りつつも、各シーンに瞬間的に浮上したエモーションだけが本当なものなのだと強調している映画に見える。

その意味ではちょっとした野心作ではある一篇。 2015/03/24(火) 00:18:05 その他 トラックバック:0 コメント(-)

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