0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「あなたへ」




降旗康男「あなたへ」再見、

富山刑務所の指導教官、高倉健に死んだ妻・田中裕子からの絵はがきが届くが、そこには死んだら故郷の長崎に散骨してほしいとあった。

高倉は妻の真意が知りたくて散骨のために車を走らせるが、旅の途中、ビートたけしや草なぎ剛、佐藤浩市と出会う。





先日亡くなった高倉健さんの遺作。

亡くなってから見直すと健さんの老いた存在感がやはり際立って見えるし、実は訳ありな草なぎや佐藤浩市、たけしや大滝秀治との旅先での出会いにも味がある。

シンプルなロードムービーに健さんの存在感が似合っている。

しかし少々音楽が多すぎるのとショットに感心するものが少なく、最後の移動撮影はいいがせっかく立ってるだけで映画になる健さん主演なのに映画的な味わいが薄すぎる。

また終盤、佐藤浩市は実は保険金詐欺をやっていたのに刑務所の指導教官たる健さんがそれを平気で見逃して美談話みたいにまとめているのはおかしすぎる。

これを見てよく保険会社の人が怒らんな。(苦笑)

そういう難点はあり、老いてからの健さん映画はいつも勿体ない気がするが、健さんの得難い存在感と人々の交流の描写に味があることでなんとかなっている一篇。 2014/11/25(火) 00:14:37 東宝 トラックバック:0 コメント(-)

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