0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「北のカナリアたち」




阪本順治「北のカナリアたち」再見、

北海道最北端の離島の分校で教師をしていた吉永小百合は六人の生徒に歌の才能を見て合唱団を作る。

だがバーベキューに行き悲劇が起こり、吉永は夫を失い、島を離れることになる。

だが数年後、教え子だった森山未來が事件を起こした話を聞いて吉永は過去の謎を探索しだす。




湊かなえの短編小説を堂々たる長編映画にした作品。

監督阪本順治、撮影木村大作の映画としての味わいもさることながら、この映画は特に那須真知子の脚本の秀逸さが光っている映画だと思う。

役者陣も皆好演しているが、近年の吉永小百合映画には芳しい出来の映画が少ない中、これは見事に傑作だと思う。

特に後半、湊かなえ原作らしくそれぞれの人間の小さな過去の悲しみと真相が発覚していくが、それを救いとろうとする人々の思いと哀愁が見事な味わいで溢れ出し、単なるいい話や綺麗事的まとめ方ではない情緒と意思がちゃんと出ている作品になっている。

ミステリ仕立てだが、それ故に掬い上げることが出来る、ドラマ的には描きにくい人々の微妙な見えにくい悲しみ、それを堂々とドラマ的ペーソスに結実させた見事さが光る秀作な一篇。 2014/08/26(火) 02:13:58 東映 トラックバック:0 コメント(-)

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