0線の映画地帯 鳴海昌平の映画評

「フール・フォア・ラブ」

フール・フォア・ラブ [DVD]フール・フォア・ラブ [DVD]
(2008/08/02)
サム・シェパード、キム・ベイシンガー 他

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ロバート・アルトマン「フール・フォア・ラブ」再見、

ニューメキシコの砂漠に、あるモーテルが一軒建っていたがそこにキム・ベイシンガーが住んでいた。

近くのキャンピングカーには働かずぶらついている父のハリー・ディーン・スタントンが住んでいた。

ある時、モーテルにカウボーイ姿のサム・シェパードがやってきてキムと愛しあっているようだったが、実は二人は兄妹の近親相姦の関係だった。

そこにサムを追いかけてきた伯爵夫人やキムの恋人が絡み、恋愛感情から荒々しい一波乱が巻き起こる。




サム・シェパードの戯曲をアルトマンが映画化した作品。

お話が実にわかりにくく、なんだか単細胞でやたら感情的なホワイトトラッシュどもが惚れた晴れたで銃をぶっ放して大騒ぎしているだけの話じゃねーか(笑)と言いたくなるような映画だし、サム・シェパードの戯曲のどこが素晴らしいんだかさっぱり伝わってこない映画ではある。

役者陣は中々味を出しているがどこか支離滅裂な感じもする映画で、それをいちいち情感たっぷりに煽ってる感とかが不思議に思えてくるところすらある。

しかし妙に嫌いになれない映画である。

ファーストシーンのニューメキシコを走る車の走行からして妙にアメリカ的な映画っぽさを感じさせる。

映画自体、物語的な流麗さより破片的な映画の断片の寄せ集め的な感じがするが、それがデジタルなバラバラ感ではなく、寧ろ有機的な映画の肉塊の寄せ集めのようなアナログ性に満ちたもので、なんだか映画の肉体の断片をバラバラに繋げてかろうじて物語らしきものをギリギリ紡いでいるような奇妙さを感じさせる。

その意味では面白くない映画ではあるが、異色な映画としての愛着を感じさせる作品である。

これを見てサム・シェパードの芝居などまるで見たいとは思わないが(苦笑)アルトマンが映画の肉体を肉塊にしてそれを断片的に繋ぎ合わせたようなテイストには妙に映画としての愛着を感じる。

アルトマンはここではただ監督を依頼されているだけなようだが、結局この映画はサム・シェパードの役者としてや戯曲の魅力などはどーでもいいが、ひたすらアルトマンの映画的感触ばかりに好感が持ててしまう。

一言で言えばちっとも面白くない映画だが、そんな不思議な破片的な映画の感触だけが興味深い一篇。
2014/04/25(金) 13:45:58 外国映画 トラックバック:0 コメント(-)

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